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初恋強盗  作者: 御神大河
78/203

男同士のお出かけ回

 詞との夏祭り前夜。

 ゲームの対戦相手として楓に散々付き合わされていたオレは、楓が満足したことでようやく解放された。


「毎日毎日何連戦も、楓の奴体力あり過ぎだろ……」


 疲労困憊のオレがベットへダイブすると、珍しくオレのスマホが鳴る。


「もしもし?」

「もしもし、鏡夜?詞だけど」

「詞!?」


 なんで急に詞から!?


「ど、どうした?」

「どうした?じゃないよ、もう!鏡夜、ボクをお祭りに誘ってくれたよね?」

「お、おう。明日だろ?ちゃんと覚えてるぜ」


 詞との祭りは楽しみしてるんだ。忘れるはずがない!


「そうだけど、そうじゃなくて。待ち合わせとか聞いてないんだけど?

 どうやって合流する気なのかな?」


 しまった!

 そうだった……。


「すまん、すまん。失念してた。

 えーっと、じゃあ、天霊神社に5時とかどうだ?」

「お祭りの前になにか用事あるの?」

「ん?いや、特にないけど」

「ふーん。なんにも予定ないのにお祭りのギリギリに集合なんだ」


 あ……。


「いや、その~、祭りの日部活とかあるか、詞?」

「む。あって欲しいってこと?」

「いやいやいや、そうじゃなくって!ないといいなって」

「ないけど……」

「ほんとか!?じゃあ、お昼とかも遊べるな!なら、天霊駅に12時はどうだ?」

「いいよ!天霊駅に12時ね。遅れたら怒るからね!」

「絶対遅れないよ」

「ふふ。じゃあ明日ね?」

「おう」


 そうだった、そうだった。友達と遊ぶ時は待ち合わせ場所と待ち合わせ時刻を決めないとだった。

 遊ぶ約束を取り付けるのに必死で忘れてたな。



 チチチチ…チュンチュンチュン


 全然寝れなかった……。


『あのさー。瑠璃花くんとお祭りに行くんでしょ?一睡もしないでなにやってんの鏡夜?』

「うっ。つ、ついな」


 トーカが呆れるのももっともだ。

 なんでオレは詞と祭りに行くからって、ゲームで夏祭りの予習してんだよ!

 詞は攻略対象じゃないだろ!!

 最近、なんでもかんでもゲームに依存している気がする……。

 いや、ここまで順調なのはゲームのおかげだ。後は普段通り、普段通り。


「よし!やるか!」


 オレは冷静になるために普段通りの生活を心がける。

 早朝、運動不足解消のために外へ出てジョギングなどの運動。

 帰ってきたら、シャワーを浴びて汗を流す。

 掃除や洗濯物を済ませ、彩夜と楓がいつ起きてきてもいいように朝食を作っておく。

 まぁ、ここのところ彩夜も楓も昼近くまで寝ているから朝食というか昼食なんだが。

 全てが終わったら自由時間だ。

 彩夜と楓の起床に気づけるようにリビングでゲームをしつつ、トーカと談笑する。


『お祭りで他の人にあったらどうするの?』

「詞と相手次第だな」

『攻略対象でも?』

「ああ。詞がいる以上二人きりってことはないしな。

 好感度が大幅にあがるってこともないだろ」


 オレがトーカと話していると楓がリビングに降りてくる。


「おはよ」

「おはよ~」

「ご飯食べるか?」

「うん」

「じゃあ、顔洗ってこい!後ついでに彩夜も起こしてきてくれ」

「ん」


 しかし、彩夜を起こしに行ったはずの楓が一向に戻ってこない。


『楓ちゃん戻ってこないわね』

「詞との待ち合わせがあるし、のんびりはしてられないんだが……」

『見てこようか?』

「いや、オレが行く」


 オレは彩夜の部屋へと向かう。

 ん?彩夜の部屋開いてんな。

 オレは彩夜の部屋を覗く。


『あらら~』

「ミイラ取りがミイラか……」


 彩夜を起こしに行ったはずの楓は、彩夜のベットに突っ伏し一緒に寝ていた。

 やれやれ、このまま寝かしといてやるか。

 オレは食事が冷蔵庫に入っている趣旨のメモとちょっとしたお小遣いをリビングの机に残して、詞との待ち合わせ場所へ向かう。



 詞との合流は簡単だった。

 野郎の視線が詞に注がれているからな。

 これなら混雑した祭りでも楽に合流できたんじゃないか?


「あっ、鏡夜ー!」


 詞がオレに気づき手を振りながら走ってくる。

 う~ん。かわいい。

 短パンにジャージだし女の子女の子って感じの服装じゃないんだけどな……。

 それでも私服だとさらに性別がわからなくなるな。

 やはり顔の問題か……脚きれいすぎないか?

 男とわかっているのに視線がいってしまう。


「すまん。待たせたか?」

「ううん。大丈夫だよ!ボクが早かっただけ!それでどうする?」


 あー、夏祭りの予習はしたけど普通の遊びの予習はしてないな。

 と言うか、友達の遊びって何をすればいいんだろうか?デートとは違うよな?


「とりあえず、映画でも見て体温下げないか?外は暑い」

「そうだね」


 よし!これで映画の時間と感想を言い合う時間で計画を立てるための時間稼ぎができるな。

 オレと詞は映画館へ向かう。


「なにか見たいものあるか?」

「うーん。夏だしホラーとか?」

「じゃあ、それにするか」


 ホラーか……。

 基本的な感想は怖かっただし、簡単でいいな!



 映画はかなりのクオリティーだった。

 詞はかなり怖かったのか、上映中は度々ビクンッと肩を跳ねさせ、最終的に半べそをかきオレの腕にしがみついた状態で映画館を出ることとなった。

 そんなんになるのになんでホラーなんて選んだんだ?

 一方のオレは、オレの頭上でトーカがものすごい悲鳴を上げていたせいで、逆に冷静になってしまった。自分よりパニっくっている人がいると冷静になれるってのは本当だな……。

 と言うか、天使でもホラーって怖いんだな。


「大丈夫か、詞?」

「うん。大丈夫……」

「昼にしようぜ。どんな店がいい?」

「ファミレスにしよ。感想とか話せるし」


 詞の提案でオレたちはファミレスへ入る。

 ファミレスへ行く道中に「彼女を泣かせているDV彼氏」として警察に事情聴取をされたが、まぁそれはいい。……よくないけど!

 オレと詞はファミレスで少し遅い昼食を取りつつ、映画の感想を語る。

 定番だな。


「久しぶりにホラー映画見たわ」

「そうなの?」

「ああ。妹がホラー苦手だから自然とオレも見なくなったんだ。

 それよりも、詞ホラー苦手だろ?なのになんでホラー映画なんて選んだんだ?」

「それは……夏だし……それに……」


 それになんだ?


「涼しい顔でホラー見れたら男らしいかなと思ったんだもん」

「……どういうこと?」

「そのままの意味だよ!ホラー映画を怖がらずに見れたらかっこいいでしょ!?

 実際、鏡夜もそうだったじゃん!」

『わかる!』


 いや、わからん!


「オレも普通に怖かったぞ?」

「え!?そうなの?

 でもほら、怖がってるところを表に出さないと言うか。ね!」


 ね!って言われても……。

 詞って結構見栄えに拘るんだな。


「なぁ、詞。前から気になってたんだけど、なんで詞は入学してすぐオレに話しかけてくれたんだ?」

「かっこよかったから!」


 即答!?

 いや、嬉しいし、ちょっとドキッとしたけども。


「そ、そうか?」

「うん!

 背も高いし、目つきも鋭いし、運動神経もいいし!」


 お、おう。

 こんだけ真っ直ぐ褒められると照れるな。


「それに入学式の登場も派手だったし、遅刻してきても堂々としてるし!」

「いや、それはかっこよくないだろ?」

「そう?ボクなら情けなくオドオドしてたと思うよ」


 いや、オレもオドオドしてたから……。

 なんか詞って思ってたよりアホだな。


「でも、かっこいいって言うなら櫟井とかの方がかっこいいじゃないか?」

「うーん。

 かっこいいとは思うんだけど……。

 ボク、実は女の子とよく間違えられるんだ」


 でしょうね。


「だから迫力のある男らしい感じになりたくって。

 そういう意味では櫟井くんより鏡夜の方が理想的だなって……。

 どうやったら鏡夜みたいになれるかな?」

「どうって……」


 そう言われてもな……男らしさか……。


「自信と筋肉とか?」

「自信と筋肉……頑張ってみようかな」

「え!?」

「なに?」

「あー……いや、なんでも」


 筋骨隆々の詞はあんまり嬉しくないな。

 でも、本人やる気みたいで止めづらいしな……そこそこで満足してくれますように。

 オレは胸の内で密かに祈った。

また読んでいただきありがとうございます!

『初恋強盗』の78話です!!

今回は瑠璃花詞とのお出かけ回!!

男の子同士だよ!デートじゃないよ!

詞は漢を目指してるかわいい子だよ!!

次回は夏祭り回(男同士)!!ただ、ちょっとしたトラブルが!?お楽しみに!


忌憚ない批評・感想いただけると嬉しいです。

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