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今夜さよならをします  作者: たろ
第1章
32/109

お花畑のリーリエ様⑤


 ライナは頬を叩かれた後腫れが引かず仕事を早退することになったと他のメイドから聞いたわ。


 だからシエルが彼女の元へ行かないようにしたのよ。



 ーーーーー


「シエル、今日は他の護衛が忙しいみたいなの。怖いから慣れない騎士よりも今日の護衛はシエルでお願いね」


 他の護衛騎士にはもちろん最初からシエルに護衛をしてもらえるように手配済み。

「あ、すまない俺用事が入って」

「今日は俺休みになってるはずだけど?」など、突然みんな休みになってもらったの。ーーふふ。


 謝りに行くこともできずにシエルはわたしの護衛として部屋の近くに待機することになった。



 シエルが廊下に立っているので「シエル?」と話しかけた。


「まだ寝られていないのですか?」


「うん、眠れないの。少しお話しない?」


「すみません、リーリエ様の部屋にわたしが一人で入ることは出来ません」


「そう………わたし眠るのが怖いの。体調がよくないから夜になると不安になるの、シエル少しでいいから」

 シエルはわたしの潤んだ瞳には弱いのを知っているの。


「わかりました」

 シエルは部屋の扉をわざと大きく開けて部屋へ入った。


 ーーもう!閉めてもいいのに!


「手を握って」

 シエルに甘えるように言った。



「申し訳ありませんが勘違いされる様なことはできかねます。わたしは扉の中には入りますが扉の近くで待機させてもらいます」


 ーーシエルって生真面目すぎなのよね。でも簡単に落とせる男よりも落ちない男の方が時間をかけて落とせて楽しみも増えていいのかも。


「シエルはわたしが嫌いなの?」

 寂しそうに俯いた。


「シエルはいつもメイドのライナのことを気にしているみたいだけど、やっぱりわたしみたいな子供より綺麗でスタイル抜群な女性が好みなのね」


「いえ、好みだとかそんな訳ではありません、ただ顔見知りではあります」


「そうなのね、わたしももっと早くシエルと知り合っていたらシエルはわたしのことを好きになってくれたのかしら?」


「リーリエ様はわたしにとって大切な主です。嫌いになることはありません」


 ーーシエル……ライナのことなんか絶対忘れさせてあげるわ



 ーーーーーー



 それからは屋敷の中でライナが働くお母様の部屋の近くではシエルに甘える姿を見せるようにした。


 もう彼はわたしのモノなの!ってアピールしたの。



 でもね、どんなに頑張っても彼の瞳にわたしは映らない。どうしてなのかしら?



 学校へ行くときは、シエルが護衛をしてくれる。


 馬車を降りて教室へと向かい始めると彼はわたしに頭を下げて屋敷へと戻る。


 ふと彼の後ろ姿を見つめるも一度も彼は振り返らない。

 そう一度も。


 一人で教室まで歩くのって虚しいの。


 女子は何故かわたしに話しかけて来ない。

 でもね、わたしは良い子だからみんなに笑顔でちゃんと挨拶するのよ。


「おはようございます」にっこり微笑めば男子は顔を赤くしたりドギマギしたりするの。

 ーー可愛い。


 なのに女子は、わたしの可愛い笑顔を見てもにこりともせず「おはようございます」と返事をするだけ。


 ーーだからイヤなのよね、女子に挨拶するの。可愛げがなければ男子に愛されるわけがないのに。ほんとそんなこともわからないのよね女子は……


 一人で歩いているといつもそばにいてくれる男子がわたしに気がついて「リーリエ様!」と話しかけてくれるの。


 ーーうん、こうでなくっちゃ。


 ご機嫌が少し良くなって男子と話していると、たくさんの人に囲まれたキラキラした彼が遠くに見えた。


 ーーバズール様……何度も声をかけたのに、何故彼はわたしのモノになってくれないのかしら?


「リーリエ様今日はどうしたの?」

 男子がわたしが黙って考え事をしているのに気がついて、顔を覗き込んできた。


「うん?……リーリエって……魅力がないのかな……」


「何言ってるんだ。君はいつも可愛らしくって守ってあげたくなるんだ」


「ほんとぉ?」


 わたしが嬉しそうな笑顔で彼に聞くと


「もちろんだよ、君の笑顔が見れるだけで僕は幸せだよ」


 ーーふふ、嬉しい。


 わたしは気分が良くなってバズール様達がいる集団へ足を向けた。


「おはようございます」明るい笑顔でみんなにご挨拶をすると


「あれ?リーリエ嬢だね、おはよう」一人の男子が返事をしてくれた。でもその隣にいる男子が…

「ああ、あの噂の」

 と、いつもの男子達とは違う反応が返ってきた。


 ーーえ?何、この人達。


 わたしのことを興味本位でジロジロ見るの。

 なんだかイヤな気分。


 わたしの隣にいる男子は下を向いて黙っているわ。


「バズール様……この方達は誰なのですかぁ?リーリエなんだか怖いわ」


「……君はこの国の王子の顔も知らないの?」

 呆れた顔でバズール様がわたしを見た。


 ーーえ?王子様?


 彼らをよく見ると……


 ーーエドワード……王太子殿下?

 うわぁ、かっこいい。

 初めて近くで拝見したわ。


「おはようございます、リーリエと呼んでくださいね」わたしがニコニコ笑顔で明るくご挨拶をしたら何故か周りの空気が冷たくなって固まった。


 ーーどうしたのかしら?


「くくくっ、この子、まともに挨拶もできないんだね。バズール、噂以上だね」


 ーーな、何よ!名前だって教えてあげたのに!おはようございますって言ってあげたし笑顔まで見せてあげたのに!


「な、なんなのですか?せっかく可愛く笑顔で挨拶してあげたのに!」


「リ、リーリエ様!だめです」

 横の男子がわたしの腕を掴んだ。


 ーー痛いじゃない!もう!


 わたしは腕を振り払い隣の男子をキッ!と睨んだ。


「リーリエ嬢の隣の僕、このお花畑少女に今の何が悪いのか教えてあげて」


 王太子殿下はそう言うとみんなと去って行った。


「酷い!わたしのことをお花畑なんて!……でも可愛いわね。お花畑?リーリエに似合っているかもね」


 わたしが機嫌良くなると隣にいた男子が……


「リーリエ様……ここは学校です。だからあまり身分差を持ち出す事なくみんな平等に過ごしています。しかし王族に対してあんな挨拶だけはだめです。

 殿下はリーリエ様に発言の許しはしていなかったはず。それもあんな挨拶の仕方をすれば不敬と取られても仕方がないことです」


「あんな挨拶?」


「頭も下げず家名も名のらずまるで友達のような挨拶はとても相手に失礼なことなんです、リーリエ様は伯爵令嬢です、平民ならまだしもマナーに沿った挨拶は大事なんです」


 ーーそんなの知らないわ!誰がそんなこと決めたの?











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