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第二話

ちょっとエッチな描写がありますので、お気を付け下さい。

 目覚まし時計の音が鳴り響き、皓ははっと目を覚ます。

 何時もより重い体と頭を振りながら、ベッドサイドに置いてある目覚ましを止めて時間を確認する。

「……こんな早く起きても仕方がねぇじゃねぇか」

 憮然と呟き、深い溜息をつきつつごそごそと布団の中に潜る。

 先ほどまで、物凄く良い夢を見ていたのだ。

 数年前に別れた彼女を抱く夢で、現実ではしなかったような可愛らしい反応をしてくれていたのだ。

 折角楽しんでいたと言うのに、目覚まし時計で邪魔された事が腹立たしい。

 まったくと呟きながら寝返りを打つと、布団の中がごそごそと動き出しギョッと目を見開く。

 その彼の前に、ずるっと布団の中から白い手が現れる。

「だっ……誰だ!?」

 そう誰何し布団を捲りあげると、真っ直ぐな黒髪を乱した少女が寝ぼけた表情で体を起こす。

「おはようございます」

 何処か舌足らずな口調でそう言い、ぶかぶかのTシャツを着たままペタリと子供の様に座る。

 その姿に、視線が釘付けになる。

 寝ぼけ眼でも彼女はかなりの美少女で、しかもかなり凄い格好をしていた。

 すらりとした白い脚と、柔らかそうな胸が布地を押し上げている光景は激しく本能を刺激する。

 皓は思わず喉を鳴らし、生唾を飲み込んでしまう。

 そんな彼に気がつかず、静那はゆっくりと瞬きをしてポンと手を叩く。

「勝手におじゃまして、申し訳ありませんでした」

 あまり慌てた様子も見せず、頭を下げる静那。

「あっ……あぁ」

 こくこくと皓は頷き、次いではっと正気づく。

「な、なんでお前がここに居るんだ?」

 皓がそう問いかけると、静那はぽわんとした笑みを浮かべる。

「昨夜、はは様がつけてくださった方がこちらのお住まいを見つけてくださったのです。旦那様は瘴気にあてられ、気絶されてしまいましたし」

 ニコニコと笑いながら告げられた言葉に、皓は目を剥く。

「ちょっ……ちょっと待てぇ!」

 思わず皓は叫び、室内をきょろきょろと見回す。

 部屋の中は猫がいる以外には特に変わった様子はなく、静那と自分しかいない事を確認する。

「って、猫!?」

 耳が折れ、丸い顔に低い鼻をしたその猫はスコティッシュフォールドと呼ばれる種で、大変愛らしい。

 自分は猫など飼えるほど裕福では無く、まして血統付きだと普通に六桁でないと購入できない品種だ。

 そんな猫が何故こんな所にと、他にも色々と突っ込みを入れたい事をすっかり忘れて猫を凝視する。

 円らな瞳でじーっと皓を見つめる猫は、一つ欠伸をして耳を掻く。

 その愛らしい仕草に隣の静那はほにゃんと笑いベッドを降り、皓の視線を遮るように猫の居る窓際に歩いて行く。

 背筋をしゃんと伸ばし、凛とした風情を見せる後ろ姿だが、真白いシャツが日差しに透けて彼女の体の線を露わにしている。

 思わずそちらを凝視した瞬間。

「あっ!?」

 と言う静那の声が聞こえたと同時に、どすっと音を立てて猫が腹に突っ込んできた。

「がふっ!」

 思わず呻き、重い衝撃を受けた腹を見る皓。

 そこには尻尾を膨らませ、とても可愛らしい顔で威嚇する猫が鎮座ましましていた。

 皓はごほっと咳きこみながら猫に手を伸ばすが、威嚇音と共に猫パンチを食らってしまう。

「あぁ~……駄目、そう言うことしちゃ」

 そう言いながら、静那は猫を抱き上げてにっこりと微笑む。

「旦那様、大丈夫ですか?」

 小首を傾げ、そう問いかける静那。

「……あのよ、ええっと……木崎、だっけ?」

 旦那様と呼びかけられた事に辟易した表情を浮かべ、皓は何とか深呼吸をして自分のペースを取り戻そうと声をかける。

 皓の問いかけにはいと頷き、居住まいを正す様に床に正座して猫を降ろす。

 真っ直ぐに、邪気なく見上げてくる静那の視線に何故か居たたまれない様な気持になりながら、口を開く。

「お前、何なんだ?」

 起きぬけから色々とあったが、昨夜の事を徐々に思い出しそう問いかける。

「私は、おにぎりのみこです」

 静那の返事にむぅっと眉を顰め、皓は眉間を揉む。

「あぁ~……いや、そうじゃなくてよ」

 昨夜の出来事をきちんと聞きたいが、どの様にして問うべきかを悩んでいると静那はその顔に似合わない邪気の無い微笑みを浮かべる。

「旦那様のお名前は、なんというのですか?」

 何処か無邪気な問いかけに、皓は唖然とした表情を浮かべてから、次いで頭を抱える。

「おま、おまえ! 名前も知らない人間の家にそんな恰好して泊まるのかよ!?」

 呻くように言うと、静那はキョトンとした表情を浮かべて小首を傾げる。

「私、ねまきをもっていなかったのでお借りしたのです」

 返事になっていない返事をされ、皓は頭痛がしてきたと思った瞬間。

「それに、旦那様以外の方とどうきんしませんから」

 にっこりと、極上の笑顔でとんでもない事をさらりと言ってのける静那。

 今まで、これほどストレートに言われた事の無い皓は思わず赤面してしまう。

「あっ……のなぁ……」

 赤面しつつ、思わず静那の姿を上から下まで見てしまうのは、男の本能であろう。

 だが、その仕草を見てとったらしい猫が静那の柔らかそうな膝の上に乗り、キロリと皓を睨みつける。

 猫のその、まるで人の言葉が分かる様な行動に眉をひそめつつ咳払いをして、きっちりと聞きたい事を言おうと決める。

「……あー、まぁ。俺の名前は窪塚皓だ。んでまぁ、木崎は何で俺なんかが良いって言うんだ? それに、俺の家を調べて連れてきた奴は何処に行った?」

 一気に、静那や猫に邪魔されない様に問いかける皓。

 静那はゆっくりと瞬きをしており、彼女の膝に居る猫の尻尾はゆらりと揺れる。

「見てられないですね」

 ため息交じりに、第三者の声が不意に割り込む。

「は?」

 皓は、誰が声を上げたのかときょろきょろと部屋の中を見回す。

「まったく、鈍い人ですね」

 憮然と呟く声は、静那の方から聞こえてくる。



月一とか言いながら、いきなり更新してしまいました。

今回長すぎると思い、途中で切ったので物凄く中途半端かもしれません。

また、基本的に詰め詰めで書いておりますので、読み辛いや誤字脱字等がございましたらご一報くださるとありがたいです。

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