根源
「グッグガガガギギギッ」
俺に、はめられている手錠を警〇官の首に。
俺がこの行為に出て、期待する結果は二つある。
一つ目はこのままこの警察官を絞め殺し逃げること。
二つ目はこの警察官が運転しているパトカーを事故らせること。
正常な理性を持ち合わせていたら、この様なことは当然やらない。
だが、条件次第で正常な理性なんていう人間本位の考え方は簡単に消し飛ばされる。
それは俺が大量殺人を犯してしまったということだ。
このまま刑務所に連れていかれても、死刑は確実。
ならば、僕は逃げられる可能性に賭けようと思った。
警〇官の顔が血の気を引き始めている。
躰全体が痙攣を始め、眼球がグリグリと無造作に動いている。
「最後の仕上げをするか...」
すかさず、拳銃を盗み、セーフティを解除。ハンマーを引き、警〇官の後頭部に一発。
ゼロ距離射撃は当然危険を伴う。
出て行った弾が、どこに着弾するかわからないからだ。
だが、俺は確信をもってこの引き金を引いた。
確信を持った行動というのは、結果に表れる。
フロントガラスの右下に穴があるため、恐らく後頂葉から前頭葉を駆け抜け、フロントガラスに抜けていったと考えられる。
「まだ、女神は俺を殺さないようだ」
手錠をつけたまま、パトカーから逃げる。
必死に道路を走り抜ける。
当然人に会ったら一発アウトだ。
「この道を行くと....あの神社だ。」
あの神社。僕と少女の思い出の場所。俺の人生でたった一つの居場所。
「あそこまでは、あそこまでは...」
神社の階段を駆け上がる。少女に合う為に。
「ハァッハァッ」
少女と会う為なら限界は容易に超えられる。
「これで俺は救われる。」
そろそろ登り切れる。
拝殿が見えてきた。
その近くに少女はいた。
「あぁ...俺の女神様」
少女の方に走り寄る。
「君はもう用済み」
そのとき、ふっと体から全ての力が抜け、砂利に顔面をぶつけた。
(こんなことってあっていいのか?いやあっていいわけない。)
(女神よ...なぜこのような仕打ちを...)
だが言葉を発することはできない。
(あぁ人を殺しすぎたんだな...)
ここで俺の意識は途絶え、彼の意識が再生される。