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第7話 王族との遭遇と帝国への旅

今日も茜と一緒にダンジョン攻略している。

三階層にはアクスビークやシルバーウルフ以外にも夜行性で大型犬ほどの大きさがある猫のナイトキャット、空飛ぶスライムのスライムバード、小さいネズミのホーンマウス、小さなフクロウのノワールアウルがいたので四匹を従魔に加えた。


従魔達の名前を決めた。ナイトキャットは目が赤いのでレッド、スライムバードは身体が青いのでブルー、ホーンマウスは身体が灰色なのでグレー、ノワールアウルは羽の一部が銀色なのでシルバーと名付けた。これで従魔は五匹になった。アクスは馬車引き、レッドは夜の見張り、ブルーは空からの偵察、グレーは屋敷や城のスパイ、シルバーには電話ができないのでアオ達との通信役を担ってもらう予定だ。


ダンジョン攻略だが、大して苦戦することもなく、四階層では虫系の魔物ソルジャーアント、ポイズンモス、キラーマンティスを斃し、五階層ではオークやオーガを斃した。だが、五階層の最深部にボス部屋があり、二メート以上もある黒い肌のオーガキングが待っていた。


「茜、背後に回り込んでくれ」


「任せて」


俺は吹き矢で攻撃し、オーガキングを威嚇すると俺目掛けで剣を振ってきた。俺はミスリルの剣で応戦している隙に茜が背後に回りこみ、背中を切り裂いた。それでも斃れないオーガキングを茜に視線を反らした瞬間に胸に剣を突き刺し、茜がオーガキングの首を刎ねた。


「今までの戦いに比べるとちょっと苦戦したわね」


「そうだな。でも、あれを見て」


オーガキングを斃すとボス部屋の奥に宝箱が現れたのだ。


「やっぱり、宝箱ってあるのね。不思議」


宝箱の中身は三十センチほどの黒い鉱石と水晶のようなものが二つ入っていた。


「ちょっと、私にもそれが何か教えてよ」


「ああ、すまない。鑑定で調べたところ、これは魔力鉱石と魔力結晶と言うものみたいだ。魔力鉱石は鉄やミスリルと混ぜ合わせた合金で剣や刀を作れば、魔力が通しやすくなり、剣の強度アップも図れるそうだ。もう一つの魔力結晶だが、これは魔力を精製して結晶化したもので傷を癒す、魔力を回復するポーションと同じ効果をもたらすそうだ。売れば高値が付きそうだが、俺達で持っておくことにしよう」


「凄いお宝がゲットできたね。これで刀をもう一本作ってみたい」


「そうだな」


五階層しかないダンジョンなので期待はしていなかったが、良い物が手に入った。

ついで、と言っては何だが、スキルが四つ増え、調合、遠見、遠耳、毒耐性のスキルを得た。相変わらず、攻撃スキルは吸収できなかったが、それは仕方がないと諦めている。更にレベルも上がり、俺はレベル19、茜は14になったことでステータスが茜の倍近くになった。


身体だけ丈夫になっても仕方がないのだが、職業が鑑定士だからな。ただ、遠目のスキルを得た直後、眼鏡のピントが合わなくなった。どうやら、視力が急に回復したようだ。

お陰で急に眼鏡を外した俺を見て、茜に驚かれたが何故か、眼鏡を外しことでニヤニヤされた。


それとダンジョンで斃した魔物を冒険者ギルドに売ったことで俺達はEランクに上がった。







俺達はいよいよラスター王国を離れ、ブリュン帝国へ向かうことにした。

その前にブリュン帝国までは村や街がなく、馬車で四日もかかる旅なので、必要となる野営道具や魔道具を購入することにした。


野営道具と言っても幌馬車で寝泊りするので必要なのは寝具や調理に必要な大鍋や鉄板、皿などだ。後はや野営に便利な魔道具だ。必要と思うものを二人で相談し、購入した。


魔道具は便利なものが多く、水が沸く水筒、マッチ不要のコンロやランタン、魔物避け結界石、温調機能付き寝袋、自動で空気が入るエアーマットなどを購入した。


「異世界って侮れないわね。私達の世界より便利なものが沢山あるもの。ただ、テレビや雑誌の娯楽が少ないのが難点ね」


「娯楽品なら、この世界にもボードゲームがあったので、いくつか買っておいたぞ。小さな兵の人形を言葉で動かすウォー・ゲーム、本物そっくりの世界を旅する人生ゲーム、空中に浮かぶ輪に矢を通すだけのダーツみたいなゲームを買った」


「嘘!いつの間に?」


「茜が指輪やネックレスに見とれている間に買っておいた。茜は買わなくても良いのか?」


「ん~、欲しいけどどれにしようか迷っていて・・・・・・悠太が選んで」


「俺が!ん~、そうだなぁ。これなんかどうだ?茜に似合うと思うよ」


俺が選んだのはピンクサファイアがハートに加工されたネックレスだ。ピンクの宝石が茜に似合うと思ったのと、茜の目線がこれを選んでと訴えていたからのだ。

値段は白金貨一枚と大金貨四枚でかなり高い気がするが、金なら茜のお陰で沢山あるので問題ないだろう。


「私もね。これが良いなぁと思っていたのよ。少し、高いけど買っても良いよね?」


「勿論だ」


「やったー、ウフフフ」


茜は喜んでくれてなによりだ。

翌日、俺達はブリュン帝国へ出発した。







馬車の操縦は通常なら、御者のスキルが必要なのだが、俺の場合は従魔であるアクス(アクスビーク)に命令するだけでルートを指示できるので楽だ。アクスビークは基本、草食だが時には虫や小さな魔物も食べるらしい。アクスビークに馬車を引かせているが、想像以上に早く、これなら二日でブリュン帝国へ到着しそうだ。


レッドには夜の見張りをしてもらうので今は馬車の中で眠ってもらっている。レッドは肉食なのでダンジョンで斃した魔物の肉を生で食べさせている。


ブルーは馬車の上空を飛行しながら、馬車の先に魔物や盗賊がいないか、偵察を任せている。ブルーは雑食で何でも食べてくれるのでその辺に生えている草を食べてもらっている。


グレーとシルバーはブリュン帝国に到着するまで仕事が無いのでグレーは俺のポケットの中で、シルバーは馬車に取り付けた止まり木で休んでいる。実はグレーはレッドが襲ってくるのではないかと心配のようで俺の側から離れようとしないのだ。


茜はと言うと夜の見張りに備えて、馬車に設置したハンモックで休んでいる。馬車には折りたたみ式のソファーベッド、エアーマットを設置しているのでかなり、寛げるはずだ。


順調に走行していると遠目と遠耳スキルが反応し、同時にブルーからも念話が届いた。


「≪ご主人様、遠くに人影見えるよ。多分、馬車がコボルトの群れに襲われているの≫」


遠目と遠耳スキルで確認すると五キロ前方で騎士らしき人物十数名が俺達の馬車とは比べ物にならない高価な馬車を守っていた。


「わかった。助かったよ、ブルー。アクスは馬車をゆっくり止めてくれ」


こんな国境近くに高価な馬車があると言うことは、どちらかの国の貴族や王族が乗っている可能性が高いことになる。なら、近くで観戦する方が良いだろうと判断したのだ。

俺がそんなことを考えていると馬車が止まったことで茜が起き、話しかけてきた。


「こんなところで止まってどうしたの?かなり離れた位置で魔物の気配がするけど」


「貴族か王族が乗っている馬車がコボルトの群れに襲われているようだ」


「助けなくてもいいの?」


「大丈夫だろう。仮にも騎士だからな。それにあの国旗はラスター王国のものだ」


「ああ、なるほどね。じゃあ、休憩にしない?お腹が空いたわ」


「そうだな」


俺は馬車から下りると、ハンバーガー、ポテトフライ、パイナップルジュースを作り、従魔には魔物の生肉を与えた。


「美味しいよ、悠太。久しぶりに食べたかったのよね。異世界でも食べられるなんて。でも、このパンはどうしたの?」


「ベルンの街で買った黒パンが、あまりにも不味かったから、材料を買って昨日、宿のキッチンを借りて作っておいたんだ」


「いつの間に。でも、ありがとう。ん~、ポテトが美味い」


久しぶりの味を堪能し、ちょうど食事を終えた頃、気配がこちらに向かっていると茜が教えてくれた。

茜には俺の影に入ってもらい、俺は防具を脱いだ。

騎士達が乗った馬車が徐々に近付いてきたので、俺は無事に通り過ぎるのを祈った。


ラスター王国の国旗を掲げた馬車が通り過ぎようした時、護衛している騎士の最後尾にいた三人が、俺の前で止まった。


「おい、お前!俺達がコボルトの群れに襲われていた時、何故、助けに入らなかった」


「申し訳ありません。私はただの商人ですので。そんなことになっているとは気付きませんでした」


「嘘を言え、武器や防具を脱いだようだが、お前は冒険者だろう。その動作でわかる」


「一人旅なもので護身用に少し、習っただけで御座います」


「ええい、いい訳は聞かん。姫様が乗った馬車を援護しなかった罪は大きい。万死に値する行いだ。この場で死ね!」


「出て来るなよ」


今にも茜が騎士に襲いかかろうとする予感がしたので、茜に出て来るなと言ったのだ


「貴様、俺達に指図するのか。殺せ!」


茜に言ったセリフが自分達に言われたと勘違いしたようだ。しかし、何と滅茶苦茶なこと言う連中だ。この世界だから通用するセリフだろう。

俺が剣をストレージから、取り出そうとした瞬間、俺よりも早く、アクスとレッド二匹が、主人が襲われると判断したのか、三人の騎士に襲いかかり、あっと言う間に殺してしまった。

俺は死んで斃れている騎士三人をストレージに収納すると急いでこの場を離れた。


「茜、出てきていいぞ」


騎士達が遠見のスキルでも見えなくなると茜を俺の影から出るように言った。


「それにしても頭に来る連中ね。あんな横暴が許されるなんて信じられない。悠太が止めなかったら、私が斃していたわよ」


「まあまあ、そう興奮するな。アクスとレッドが始末してくれたから、もう、大丈夫だ。それより、あの馬車に乗っていたのはルチアーナ王女のようだ。何の目的でブリュン帝国の方向から来たのか?そっちの方が気にならないか」


「そう言われれば、確かに気になるわね」


俺達がブリュン帝国に向かっていることが、ばれたか?それとも勇者召喚したことをブリュン帝国に告げに行ったのか。ブルーとグレー、シルバーを偵察に向かわせる必要がありそうだな。


「ブルーとグレーは先にブリュン帝国に向かい、俺の正体がばれているのか、何かトラブルが起きていないか探ってくれ。シルバーは先程の馬車を追いかけて、何の目的でブリュン帝国に行っていたのか、なにをしにラスター王国へ戻るかを探ってくれ」


「「「≪承知しました≫」」」

グレーはブルーの背中に乗ってブリュン帝国へ飛び立ち、シルバーはルチアーナ王女の馬車を追いかけた。


「茜、従魔の報告があるまでブリュン帝国の手前で待機しよう」


「そうね。何も知らずにブリュン帝国に入るのは危険ね」


ブリュン帝国の手前まで馬車を移動させ、従魔の報告を待った。その間、魔物を狩りながらレベル上げに勤しんだ。


戦った魔物はスライム、ゴブリン、ホーンラビット、ポイズンスネーク、キラービー、シルバーウルフ、コボルト、オーク、オーガ、マンドラゴラ、マンイーター、トロールと様々な魔物を狩りまくった。お陰で俺のレベルは33、茜が25になった。


********************************

名 前:真田悠太 職業:鑑定士 レベル:33

生命力:3,207 魔力:3,208 攻撃:3,209

敏捷:3,210 防御:3,211 持久力:3,206 

スキル:鑑定、従魔、再生、調合、遠見、遠耳、毒耐性、

異世界言語

ユニークスキル:ストレージ、アブソーブ、ピュリフィケーション

********************************


********************************

名 前:斉藤茜 職業:暗殺者 レベル:25

生命力:1,360 魔力:1,360 攻撃:1,260

敏捷:1,270 防御:1,210 持久力:1,180

スキル:影魔法、暗殺剣、隠密、察知、異世界言語

ユニークスキル:ミラージュ、イミテイト

********************************


俺のレベルが20を超えた時、パーワーレベルリングの指輪を外してみたが、レベルの上がり方に変化はなかった。恐らく、俺は経験値が少なくてもレベルが上がるか何かの理由があるのだろう。指輪の有無が関係ないのなら、指は付けたままにしましょうと茜が言うのでパーワーレベルリングを続行することにした。


魔物の戦い以外にも色んな薬草が採取できた。魔力や傷を癒す薬草以外にもシャンプーやボディーソープ、化粧水になる花を採取したので、グレーに帝都に入国した時にでも調合スキルを試すつもりだ。


五日後、漸く従魔からの報告があった。

従魔の報告によるとブリュン帝国に俺達の正体はばれていないらしい。更にルチアーナ王女はブリュン帝国に留学中だったらしく、勇者召喚の知らせを聞いてラスター王国の国王から、一時帰国を命じられていただけのようだ。


ブルーにはグレーを帝都まで運んでもらい、帝都の動きを探らせることにした。シルバーには引き続き、ルチアーナ王女を尾行し、アオを探すように命じた。アカでもいいのだが、生真面目なアカと話をするとコウに情報が洩れ、そのまま国王にまで知られそう気がしたので冷静に状況判断ができるアオを探させた。従魔の報告を聞いた後、俺達はすぐにブリュン帝国に向かうことにした。





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