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夏休み明けの体育祭とか辛い⑧

スマホを見た鏡花が一瞬で青ざめた。

「鏡ちゃん? どうしたの?」

「『どうしたの?』じゃない! これを見なさい!」

鏡花のスマホを見て月乃が目をぱちくりさせた。内容は武司からの報告。昼食後、益川が壮太を連れだすと言う。教室内を見れば益川の姿はなく、教室に戻ってきた壮太と武司が昼食を食べ始めた。

「ほら、ツーちゃん! 早く食べなさい!」

「まさか追いかける気?」

「当たり前でしょ! 益川さん絶対告白するつもりだよ」

このタイミングで壮太を呼び出したのは告白するためだと武司も鏡花も考えている。そしてその考えはおそらく正しい。

「先……越されちゃうよ?」

それは嫌だけど、他人の告白を盗み見るのも気が引けるしましてや邪魔をするなどもってのほか。

「何もしなければ何も変わらないよ?」

「うっ……。でもでも、人の恋路を邪魔するのは」

「じゃあどうするの? 本当に壮太を取られちゃうよ?」

横目で壮太を見れば丁度食べ終わったとこだ。弁当箱を片付け、コップに水筒の中の液体を注いでいる。アレを飲んだあと益川に会いにいくのだろう。

ある日以来壮太のことが好きで好きでたまらない。その気持ちは日増しに大きくなり、月乃自身どうしようもできないほど大きくなってしまった。

「……ねぇ鏡ちゃん。お願いしてもいいですか?」

この気持ちに決着つけないといけない時が来たのかもしれない。

「お願い?」

壮太が出ていく。残された武司と目が合うと残念そうに首を振った。遅れて武司からのメールが届き鏡花が内容をかいつまんで話す。

「ツーちゃん武司が『どうするんだ?』って聞いてるよ?」

「私も伝えます。好きですって」

「おおーーー! 偉いぞ!」

「だから鏡ちゃんにお願いしたいです。体育祭のあと天野くんを連れて来て欲しいんです」

「リョーカイ! 引き受けました」

今頃、壮太は益川と会っているはずだ。もしかしたらもう、告白をしているかもしれない。壮太がどう返事をするかわからないけど、この気持ちは伝えるつもりだ。失恋するにしても後悔だけは残さないように……。

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