恋の相談は徒労に終わる①
その日の放課後、壮太たち三人はファミリーレストランに入り浸っていた。
ハンバーグにカレーライス、オムライスが並べられ湯気をもくもくとたちのぼらせている。
「今日、集まってもらったのは重要な話しがあるからだ」
神妙な面持ちで壮太が話しを切り出す。
「なんだよ、改まって」
「実は………………世界を滅ぼそうかと思うんだ」
「へーー、そうか。勝手にやってくれ」
武司は適当にあしらうとカレーライスに手を伸ばした。
「待って待って! これ真剣、割と真剣な相談だから」
「親友に大罪を犯させようとする相談には乗れんな!」
鏡花がオムライスを一口武司の口へ運ぶと武司もまたカレーライスを鏡花の口に運ぶ。
「そう! それ! 俺も可愛い女の子とイチャイチャしたい!」
「私と?」
「黙れ、似非ロリ」
「似非ロリ!? ひどっ! ってかロリじゃないし!」
「俺がイチャイチャしたいのはもっとこう……スタイルが良くって大人っぽい人がいいんだ」
鏡花の頭を撫で慰めていた武司がやり取りから相談の主旨を理解した。
「つまり彼女を作る相談ってことでいいのか?」
「端的に言えばそうだ」
「頼むから始めっから分かりやすく言ってくれ!」
壮太の話しは時々分かりにくいのだと愚痴ったあと腕をくんで天井を仰いだ。
壮太がその気になれば直ぐにでも彼女になってくれる人はいるのだがいかんせん、壮太にその気がない。さて、どうしたものかと武司が悩んでいると鏡花がスマホを触り始めた。
「そーゆー相談ならアタシらより適任の人がいるから呼ぶよ?」
「誰?」
「それは来てからのお楽しみ」
鏡花は右手の親指を立てるとハニカミ、オムライスを頬張り始めた。誰を呼んだのか追及したい壮太だがふわふわの卵に舌鼓を打つ鏡花は話しをする気がない。仕方ないので追及は諦めてハンバーグを食べることにした。