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5、この世界の理と私の存在理由

「まずこの世界は、キミ達人間が作り出した世界と言っても良いよ。」


初っぱなから訳も分からないことを言ってのけたこの垂れ目。


私があからさまに顔を歪めると、垂れ目もまたふにゃりと笑いながら「直訳しすぎたか…」と溢す。


それからうーん。と少し悩んでからまた口を開く。


「この世界はキミ達がいた世界の人達が創った世界ー絵本や小説、アニメに漫画、映画にドラマ…そういった物に登場する者達が住まう世界がここ。ほら、あそこにいる女の子を見てごらん。」


言われて垂れ目が指差す先を見る。

そこにいたのは


「わお、赤ずきんちゃん。」


童話に出てくる赤い頭巾を被った女の子がいた。それから辺りを良く見てみると、既視感を感じる顔ぶれがそこらじゅうに溢れていた。


「白雪姫にシンデレラに桃太郎にあれ、あのキャラって私が好きな映画のキャラだ…動いてる…」


此処は異世界、摩訶不思議なことが起こる場所。

でも此処に存在する人物、否、キャラは間違いもない私達が居た世界のキャラ達だった。


「どう?納得してくれた?」

「どうもこうも摩訶不思議なことが起きすぎていて、どこから納得していって良いのか良く分からないんだけど。」

「うん。まあそうだろうね。召喚者達は皆一様にそう言うらしいよ。まあ納得するしないは置いといて、つまりここはキミ達が作り出した世界ってこと。」


何処がつまり、なのか…もう言い返すのも疲れてきた私は否応なしに納得することにした。異世界ワンダフル。


「で、ここからが重要なことなんだけど、この世界には今この瞬間にも新たな物語が生まれつつあるんだ。そして物語と同時に新たな登場人物も生まれる。物語が増えれば増えるほど登場人物も増えていってこの世界は人口増加の道を辿るわけなんだけどさ、此処で困ったことが1つあるんだ。」


「何が?」


当然の質問だったと言えよう。

何もかもが分からないこの世界の理の困ったことなんて、私に分かるわけがない。尚も顔を歪めていると、垂れ目も段々慣れていたのか、スムーズに続きの説明をし始めた。


「この世界では、この世界に生きる者は必ず何かしらの物語に存在しているキャラだ。当然ながらその流れが載った本が存在する。それがこの世界にとってその人の命と言っても過言ではないんだけどさ、その命と言うべき本が現在物凄い早さで失われつつもあるんだ。」


「はい?」


私が?を浮かべ垂れ目に続きを促す。


「つまり、この物語が未完のまま、消えていっているっていうこと。未完のままの物語は、当然ながら終わりがない。そうなるとその物語で新たに生まれた登場人物も未完のまま、本の中から一生出ることも出来ず、一生閉じ込められ、最後には存在その物を忘れられ消滅する。人の手によって生まれた物語の登場人物は人の手によって消されていく。なんて悲しい結末なんだろうね。」


ふにゃりと笑いながら垂れ目は言う。


「言いたいことは大体分かったわ。私達人間の自分勝手な振る舞いで、この世界の住人が苦しめられているってことは。でも、それで?それで私はどうしたら良いの?まさか未完の物語の続きを考えろ、とか言わないよね?」


一抹の不安が過る。

この話の流れを考えると、未完のままの物語が如何に危険な物なのか……そうなると当然思いつく答えは……


「ご名答。人の手によって生まれたボク達の存在は、人の手によって解決して貰わないと、こっちも困るんだよね。だから、さ?」


ゾワゾワゾワ…

突如冷気が私を覆う。


いや、この展開は……


「この世界が消滅しないように、精々頑張ってよね♪」


「いーやー!!!!!」


私の今世紀最大の叫び声は、無情にもこの世界に響き渡った。


目の前で黒い笑みを浮かべるこの垂れ目。

人は見た目に騙されてはいけません。


そんな言葉が、ふと頭に過った。



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