01
下手ですが宜しくお願いします。
信崎拓斗は考えていた。自分の未来について……。
自分は未来では誰と出会い、誰と付き合い、結婚し、どんな仕事に就ているのかと。
拓斗はいつも学校帰りにこの事を毎回考えている。何時から想像し始めたかは、本人は忘れてしまった。
そんないつもと変わらぬ帰り道の公園のブランコで、自分と同じ年位の女の子を見つけた。
普段なら女性を見ても興味は無かったが、その少女は自分と年も変わらないのに白いスーツを綺麗に着こみ、マフラーをしていた。
こんな格好をした人間は滅多に見かけない。不思議そうに拓斗はその少女を足を止め、眺めていた。
暫くすると少女は拓斗に気づき、駆け寄ってきた。
(やば……見てるの気づかれた。)
少し慌てる拓斗に少女は手を重ねた。
そんな突然の行動でさらに慌て始める。
「あのー……何か僕に用ですか?」
恐る恐る彼女に聞くと
「やっと見つけました。拓斗さん!」
拓斗は考えた。こんな女の子に会った事有っただろうか?
無論、覚えがない。だが相手は自分の事を知っている。一体どういう事だ?
「ごめん僕、君みたいな子と会った覚えが無いんだけど……。」
正直に自分の心の内を明かした。
「あ、覚えてないのも無理ありません。この時代で私達が会うのは初めてですから。」
少女はニコニコと答えを返した。
「この時代ってどういう事か、全くもってちんぷんかんぷん何ですが。」
「あ、それはですね……」
少女が問いの答えを返そうとした時、公園の方から白い渦巻きが突如出現した。
「何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ……」
「落ち着てください拓斗さん。貴方は英雄なんですから。」
(何あれ何あれ何あ……え?……英雄?)
英雄と告げられて我に返った拓斗と少女の前に、今度は黒いスーツとボロボロのマフラーの男が渦から現れた。
「よう。魔王。」
「拓斗様に何と失礼な!この方は……」
「知ってるよ。信崎拓斗。未来で人々を苦しめる魔王だ。」
「何も知っていないじゃないですか!?拓斗様は、あらゆる災厄から今でも人々から守っている英雄なんですよ!!」
「何を言ってる?そいつは魔王だ。」
「英雄です。」
「魔王!」
「英雄!」
「魔王!!」
「英雄!!」
「魔王!!!」
「英雄!!!」
「ちょっと君達……」
「何だ!?」
「何ですか!?」
何となく子供の喧嘩みたいになってきたから、止めようとしたけど如何すればいいか分からない。
「あのさ……いきなり不思議な格好をした男女を見つけて、その男女から英雄だの、魔王だの言われても全然、現実味が無いんだけど。」
目の視点をグルグル泳がせながら、率直な意見を述べた。
「でもあなたは十年後の未来で、英雄になられるんですよ。」
「そんな事言われても……」
「ちょっと待て?」
渦から出て来た男子が、不思議そうに小さく手を挙げた。
「何ですか?」
「お前今……十年後の未来って言ったな?」
「そうですけど何か?」
「いや、その年には既に、此奴は魔王になっている。」
「え?」
二人共不思議そうに拓斗を見つめた。
「あのー……どういう事?君達同じ時代から来たの?」
「私はこの時代から丁度十年後ですけど?この時代に来る前に、最終確認しましたし。」
「俺も丁度十年後から……ということはつまり……。」
「私達は同じ時間、同じ時代の別のパラレルワールドから来た。」
「という事になる。」
二人は話の食い違いの理由を解明したが、実際に二人が会いに来た拓斗は、話を理解出来ていなかった。
「取り敢えず……話が長くなるようだったら、家に来る?」
「え!?良いんですか!?」
「俺はまだお前に話す事がある。」
拓斗は二人を連れて、家へ帰った。