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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第2章 おっさん躍動を始める

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第97話

「なおのやつ、どれだけ渡すんだよ。これだけの本がアイテムボックスに入りきるのか? それとも置いて……。いや、なにかの役に立つかもしれないからな。隙間を活用すれば入れられそうだな。おぉ、入ったよ」


 エルミに召喚される時間が迫ってきており、最終チェックをしつつ、アイテムボックスの中身を整頓しながら健太が呟いていた。


「ん? そういえば、帰ってきたときは時間が経過していなかったな。前は進んでいたが違いが分からないな」


 健太はメモを取りながらブツブツと呟く。日本と異世界との行き来をする度に時間の経過が違っており、かなり心配をしていた。


「時間が経過してたら、最悪の場合に行方不明になるからな。会社にも迷惑を掛けるし、警察に居ない間の説明も出来ないな。まさか『異世界に行ってまして』とは言えないからな。何回か検証しないと分からないとはいえ、検証項目が多すぎてなにから手を付けたらいいかが分からん」


 苦笑しながら、健太はアイテムボックスから缶コーヒーを取り出すと飲み始める。飲み終わった後に時間を確認するとまだ10分ほど時間が残っており、健太は時間を潰すために電子タバコを取り出して吸い始めた。


「紙たばこなら、あっちで販売できるのか? いや。似たような物があるかを確認してからだな。ひょっとしたらリンゴやオレンジみたいに、なにか生物がいるかもしれない」


 ユックリと紫煙を吐き出しながら健太は、オレンジやリンゴの木がエルミの剣技で狩り取られる果物達を思い出し満面の笑みで自分に持ってくる様子を思い出していた。


「あの太刀筋を見て可愛らしいと思うのだから、俺も変わっているよな」


 健太が苦笑を浮かべていると、足元に魔法陣が出来上がるのが見えた。慌てて電子タバコを収納して、持って行く荷物を確認する。いつも塩を載せていたリヤカーにはコーヒーやジュースなどのペットボトルが積まれており、抱えているボストンバッグにはお菓子が大量に入っていた。


「ミナヅキちゃんも、これだけ種類があれば喜ぶだろうな。そういえば、彼女は里帰りとかをするのか? その分くらいは用意できていると思うが――。くっ! 来た!」


 魔法陣の光が輝きを増し始め、目を開けていられない状態になる。いつものように目が回る感覚もなく、嘔吐感も襲ってこない事を疑問に思いながら、健太は光に包まれた。


 ◇□◇□◇□


「お待ちしておりました、ケンタ様」


「あ、ああ。久しぶりだな、エルミ。今回は普通に来られたな」


 いつものように笑みを浮かべながら出迎えたエルミに、同じように笑みを返しながらも首を傾げつつ健太が応える。眩しかった以外は体調に影響がなく、すぐにでも活動が出来る事を嬉しく思いながら召喚陣がある台座から降りる。


「これはお土産だ。後でステンカ殿や皆で食べてくれ。崩れやすいから気を付けてくれよ」


「これは? 食べ物なのですか?」


 食堂に移動した健太が、箱から中身を取り出してテーブルに並べる。見た事のないケーキに首を傾げながら確認するエルミを見て、健太は笑いながら一口大にカットしたのをエルミの口に放り込んだ。


「な! ん! 突然、なにを……。え? 甘い! 美味しいです!」


「口に合ったのなら良かった。甘い物が好きなエルミなら喜んでくれると思ったよ」


 美味しそうにチョコレートケーキを食べているエルミだったが、次に取り出されたオレンジベースのケーキを見て硬直した。


「こ、これはオウレンジーですか?」


「ああ、オレンジケーキだぞ。オウレンジー? いや、オレンジで普通に収穫できるからな」


 以前のオレンジジュース騒動を思い出して慌てて修正する健太だが、エルミは尊敬した眼差しで健太を眺めながらチョコレートケーキを頬張っていた。


「ケンタ様。珍しい食べ物があるって聞いたっす!」


『私の分もあるのー。ケンタ様ー? いっぱい食べたいー』


 ゲンナディーとミナヅキが物凄い勢いで食堂に入ってきた。机の上に置かれている各種ケーキに目を輝かせながら、ミナヅキが文字通り飛びついて食べ始める。


「え? ひょっとしてオウレンジーっすか?」


「いや、それはもういい。さっき、エルミにも説明したぞ。そんな事より食べようじゃないか」


 オレンジケーキを見て仰天した表情を浮かべたゲンナディーを、健太が苦笑と共に遮る。そして、紅茶を用意している事を告げると一緒に食べようと誘った。


「美味いっす! これがケンタ様の国にあるオレンジ? を使ったケーキなんすね! こっちはリイインゴウ――。じゃなかった、アップルパイっすか。なんでアップルとか、リンゴとか言い方が違うんすか?」


 オレンジケーキとアップルパイを交互に食べながら、ゲンナディーが素朴な疑問を投げかける。英語と日本語の説明が難しいと感じた健太は軽く流す。


「単に使い分けだ。リンゴの他に、イチゴとストロベリー、桃やピーチなどもあるぞ」


「はー。ケンタ様の国って本当に不思議ですよね。それに食べ物が襲ってこないんですよね? 天国みたいなところっすね」


『天国ー。ケンタ様ー。お代わりー』


 ゲンナディーとミナヅキの感想に、健太は苦笑しながらアイテムボックスに収納していたシュークリームを取り出して手渡した。

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