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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第2章 おっさん躍動を始める

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第94話

「ほうほう。それはベタな展開っすね。孤児院経営なんて。いや、孤児だけでなく託児所も兼ねているのは斬新なのか? 使えるかな? これもプロットに組み込んでみるかな」


 喫茶店に入った健太は2人分のコーヒーを注文すると、さっそく相談を始める。一通り話を聞いた直章(なおあき)は、顎に手を当てながら呟いていた。そんな様子を眺めながら健太は運ばれてきたコーヒーを飲みつつ、しばらく待っていたが一向に返事がない事に焦燥感を覚えると、直章の話を切る。


「おい。なにをブツブツと言ってるんだよ。それで、どうなんだよ? なにか良い案はないか? 俺が話した以外の情報が欲しいんだよ」


「いや、健さんが考えた方法で良いと思うっすよ。コーヒーを主軸にして話を進めるなら、庶民へはその対応で大丈夫です。後は貴族相手にコーヒーを出す時は、豆の種類やトッピングを選ばせるとかはどうっすかね?」


「シナモンスティックを付けるとか、アイスとホットやミルクの量を選べるとかか?」


「そんな感じっす。それとアイスコーヒーも提供するのなら、グラスに細工するのはどうっすかね? 金額によって提供するグラスが変わるとか。それならホットコーヒーでも使えそうなアイデアっすね」


「グラスに細工をする? どういう事だ?」


 健太が提案に首を傾げると、直章は大きく頷きながら説明を始めた。


「そうです。細ガラスに細工を施すっす。最初はエルミちゃんが考えた、貴族の家紋をグラスに入れる提供するんっすよ。ほら、こんな感じで細工してくれるサイトがありますよ?」


 スマートフォンで検索したサイトを直章が健太に見せる。そこには様々なグラスが販売されており、細工も自由に出来ると書かれていた。その中にあるサンプルを見て、健太が感心したような表情になる。


「はー。グラスの底に彫刻をするのか」


「レーザー加工って技術を使うらしいっすよ。彫刻自体は機械でするから、かなり精密な作品が作れるようですね。まあ、このサイトに書かれている情報を読み上げているだけっすけど。飲み終わった後に家紋が出てきたらビックリしませんか? そうだ! それを有料で提供する事にして、その購入者が来た時はそのグラスで提供するのはどうですか?」


「なるほどな。注文を受けてから作る感じにすれば、作成する時間も稼げるな。金額によって5ランクくらいの差を付けるのもいいな」


 直章からセールスのようなトークを聞いた健太は、大きく頷きながらアイテムボックスに収納していた、家紋入りの布袋を取り出して直章に見せる。


「こんな感じの家紋だけどな。どうだ? いけると思うか?」


「え? 今、どっから出しました? 何もないところから出てきたような気が? ……。まあ、酔ってるし見間違いか」


 突然、目の前に現れた布袋を見ながら直章が首を傾げていたが、酔いが残っていると自分で納得すると、ジックリと家紋を眺め始めた。


「ほえー。結構、細かいっすね。高解像度のカメラで撮影して、サイトに問い合わせをしてみるしか――」


「それでいい。他にも何かないか? いいアイデアを出したら褒美をやるぞ」


 色々とサイトを見ながら考えていた直章に、アイデアが欲しいのか報酬をエサにする。その言葉に反応した直章が嬉しそうな顔をすると、勢いよく話し出した。


「じゃあ、エルミちゃんと会わせて――」


「ならん!」


「なんで、エルミちゃん絡みだと頑なになるんっすか! なら、電話だけでも――」


「させん!」


 健太の頑なな態度に直章は呆れた表情を浮かべながらも、珍しく一所懸命な上司の為にアイデアを捻り出そうとするのだった。


 ◇□◇□◇□


「それと、ミナヅキちゃんって子の為にバッチを作ると言ってましたけど、こんなのはどうですか?」


「自分で作るのか? なるほどな。デザインを考えて大量印刷しておけば、必要に応じて作れるわけか。試しにするにはもってこいだな。かなり安いしな。さっそく注文するか。それにしても、こんな玩具を知ってる直章は何者だよ?」


 どうみても子供が遊ぶための玩具を、アッサリと情報提供出来る直章に健太が胡散臭い表情で眺めると、慌てた表情になった直章が弁明を始める。


「いやいや! 姪っ子が遊んでるのを見て『こんなのがあるんだ』と思っただけっすよ! やめてください! そんな目で見るのは」


「分かった。分かっているぞ。そうだよな。なおはそんな奴じゃない。OK! 分かっているぞ。大丈夫だぞ。部長にも言わないからな。安心してくれ。いや本当に」


「だー! なにワザと追い込んでくるんっすか! 違うと言ってるっしょ! それと部長の名前を出すのは止めてください! それと、その目も止めてください! 酔いが覚めるっす! 精神的ダメージ大ですよ」


 直章のアタフタした姿を見ながら、健太は楽しそうに笑うのだった。その後、直章から様々な情報を貰った健太は、次も焼き肉を奢る事を約束すると、タクシーを手配して自宅まで帰ると、さっそくWeb検索で見付けたサイトで注文をするのだった。

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