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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第2章 おっさん躍動を始める

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第88話

 エルミから逃げ出した健太が広場にやってくると、ゲンナディーとミナヅキが楽しそうに子供達と遊んでいた。子供は10名ほどで、話を聞くと孤児だけでなく、両親が働きに出ている子供も預かっているとの事だった。


「預かる場合は銅貨1枚が必要っすけど、それでお昼ごはんも食べられるので預ける方も助かる見たいっすよ」


『ケンタ様ー。ゲンナディーの他にも私の子分が増えたー』


「ちょっ! それってどういう意味っすか!」


 ゲンナディーから説明を聞いている健太の元に、ミナヅキが嬉しそうに近付いてくる。彼女の後ろには得意気な表情を浮かべている子供が5人ほど付き添っていた。


「おお。ゲンナディーの他にも子分が出来るなんて凄いじゃないか。よし。じゃあ、次に来る時にはミナヅキ親分用のバッチを用意しておこう」


『ばっち? なにそれー?』


 首を傾げたミナヅキに、健太はバッチの説明を始める。異世界で用意される品との説明と、ミナヅキの子分になったらバッチがもらえると聞いた子供達は目を輝かせ、そしてミナヅキも嬉しそうな顔になった。


『凄いー。だったら、ケンタ様ー。バッチをいっぱい欲しいー。これからミナヅキ団の躍進が始まるのだ多ー。ゆくぞー! 皆の者ー』


「「「「「おー!」」」」」


 ミナヅキの掛け声に、子供達が唱和する。そして、その声を聞いた近場でボール遊びをしていた子供達も集まって説明を聞くと、さっそく入団を表明するのだった。


◇□◇□◇□


「ところで、ボールで何をして遊んでいたんだ?」


 入団を認められて嬉しそうにしている子供に話しかけると、一人が恥ずかしそうにしながらも答えてくれた。


「このボールを、こっちから投げて木に当てたら勝ちだよ」


「なるほどな。だったら、こんな遊びはどうだ?」


 健太はアイテムボックスからペットボトルを取り出すと、ボウリングのピンに見立てて並べ始める。そして、ボールを持っている子供に渡してもらうと、並べているピンに向かって転がした。


「どうだ? 3本倒れただろ? それを何回か繰り返して多く倒した奴が優勝だ」


「わぁぁぁ! 面白そう!」

「僕もやる!」

「俺が一番だよ!」

「まずは順番を決めようよ」

「俺も混じるっす!」

『私も混じるー』


 楽しそうな空気を感じたのか、子供達に混じってゲンナディーとミナヅキも参加を表明してきた。健太は苦笑を浮かべると、アイテムボックスから大きめのメモ帳を取り出して複数の線を引くと、子供達に話し掛ける。


「この下に番号を書いたから好きな所を選べ。なんならゲンナディーから選ぶか?」


「え? いいんっすか? やった! じゃあ。この端っこを頼むっす! ここが一番だったっす」


 子供達のブーイングを受けながららも、ゲンナディーは嬉しそうに線を選ぶ。子供達から非難の目を浴びている健太は、不器用に片目を閉じてウインクをすると横線を入れ始めた。


「ちょっ! な、なにしてるんっすか! ケンタ様! 酷いっすよ!」


「いやいや。子供相手に一番を譲らないゲンナディーもどうかと思うぞ。あとは運次第だな。ミナヅキちゃんを手に入れた幸運を再び祈ったらどうだ?」


 子供達の大歓声を聞きながら健太はニヤリと笑うと、子供達が選んだ場所に名前を書いていった。


「これはケンタ様が住んでいる国の言葉っすか?」


「ああ。そうだそ。俺は自分の国の言葉しか書けないからな」


「全く違うんっすね。俺達の文字とは。それにしても不思議っすね」


『私の字も書いてー』


 健太とゲンナディーが話していると、ミナヅキが会話に参加してきた。健太は余白スペースに『水無月』と書き込む。それを眺めていたミナヅキは、おもむろに健太が書いた自分の名前を何度もなぞり始める。


「なにしてるんっすか? ミナヅキちゃん?」


『「我、ミナヅキにして水無月となる。その力は名付けし者の元へ還らん」』


 普段とは違うミナヅキの喋り口調と表情に一同が驚いていると、突然ミナヅキの身体が輝き始める。そして、健太に向かって指差すと、その先から光りが飛び出した。


「な、なんだ? 体が光に包まれて……」


『どうー? ケンタ様の感じはだいぶんと変わったと思うのー』


「そ、そうなのか? 特に変わった気はしないが?」


 光が収まった健太が首を傾げていると、子供達が興奮した表情になっていた。


「なになに? 物語の王様みたい!」

「ケンタ様が光り輝いてた!」

「すっげー! どうやったら光れるんだ!?」

「私も光りたい」


 子供達の表情を見て、ミナヅキは嬉しそうにしながら胸を張った。


『ふっふっふ。これは私の力をケンタ様に渡しのだー。強くなったと思うのー』


「すまん。なにが強くなったのかさっぱり分からん」


『そうなのー? でも私もよく分からないー。なにかしないとダメな気がしたのー』


 結局、自分でも何をしたのか分かっていないミナヅキの言葉に、健太とゲンナディーは拍子抜けしたような表情になる。子供達もイベントは終わったと言わんばかりの表情になると、ボウリングの順番を決めるように健太にせがみ始めた。

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