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第77話

更新が滞っており申し訳ありません! 活動報告に言い訳を……。

「本当に申し訳ありませんでした。コーヒーメーカーは購入ではなく、10年間借受けるとして1年ごとに金貨20枚をお支払いします」


 二人が別の部屋に行ってから20分ほどで戻ってきた。エルミから注意を受けたのか、顔面蒼白で謝罪をしてくるステンカに健太が申し訳なさそうに答える。


「いや。こちらこそ申し訳ない。エルミがあれほど怒るとは思わなかったので。フォローしたつもりが逆に迷惑を掛けてしまいましたね。エルミも許してやってくれないか? 俺が金貨20枚で売った事実には変わりはないのだから」


「うっ。そこまでケンタ様に言われると、もうこれ以上何も言えないじゃないですか」


 健太から申し訳なさそうにステンカを許して欲しいと言われたエルミは、渋い顔をしながらステンカを眺める。一瞬、小刻みに震えた父親を見ながら十分に反省していると判断したエルミは、小さく溜息を吐く。


「お父様。次にケンタ様を騙したら許しませんからね」


「大丈夫だよ。これからは注意と助言だけにするから安心してくれたらいい」


 二人が和解したのに安堵した健太が、エルミに話しかける。


「そろそろ食事の準備は出来たのか? それに合わせてコーヒーを淹れるよ」


「あっ! そうでした。すぐに持ってきますね。朝食ですから軽めにしていますので。出来ればコーヒーと一緒にスープも用意して頂けると嬉しいです。ケンタ様が持ってきてくださったスープを飲みたいです」


 エルミの申し訳なさそうにしながらも、期待に満ちた表情に健太は笑いながら頷くとアイテムボックスからインスタントのスープを取り出す。そして発電機に電気ケトルを繋ぐとお湯を沸かし、並行してコーヒーの準備を始めた。


「凄いですね。お湯が一瞬で沸くなんて」


「だろ。俺の国でも手放せない逸品だよ。これなら金貨100枚くらいか?」


 健太の問いかけにエルミが笑いながら電気ケトルを眺める。


「これでしたら金貨5枚くらいですね。お湯を沸かすなら魔法で火起こしすればいいので。それにケンタ様にバッテリーの用意もして頂かないとダメですからね」


「なるほどな。なんでも高級品になるわけじゃないんだな。勉強になったよ」


 商品選定には慎重になる必要があると分かった健太は、エルミに感謝の気持ちを込めて大袋のチョコレートを手渡す。ネットで購入した一袋で1キログラム入っており個包装なので配りやす物だった。


「わぁぁ。ありがとうございます。マリアンナお姉さまにも差し上げないと」


「ああ。そっちは別の物を用意しているから大丈夫だ。それはエルミが好きに使ってくれたらいい。追加が欲しければまだあるぞ」


 大袋を開け、その内の一つを口に入れるエルミ。口の中で溶ける甘さに頬を緩めながら笑みを浮かべていた。そして何かを考え込んだかと思うと、恐る恐るな感じで健太に質問する。


「ケンタ様。こちらのチョコレートはケンタ様の国では安いのですか?」


「そうだな。こっちで稼ぎ出した利益から考えるとしれてるな。10袋を渡しても痛くも痒くもないレベルだな。それがどうかしたのか? すぐに渡すぞ?」


 何かを考えているエルミに健太がアイテムボックスからチョコレートの大袋を取り出して渡す。次々と取り出されるのを確認していたエルミだったが、10袋を超えると焦ったような顔になった。


「ちょ! ちょっと多いです! ケンタ様のアイテムボックスにどれだけチョコレートが入っているのですか!」


「いや。なにを考えているか教えてくれないかみたいだからな。大量に出せば教えてくれるだろうと思ってな。ちなみに50袋ほど買ってあるぞ」


「こ、これが50袋も……。分かりました。いま領内で塩不足が発生しております。その件で領民達に迷惑を掛けておりますので、チョコレートを使って何かできないかなと思いました」


 エルミの言葉に健太が考え込む。そしてアイテムボックスの中身を確認して小さく頷くとエルミに笑顔を向けた。


「なあ。領民は何人くらいいるんだ?」


「そうですね。お祝いをすると集まるのは100人くらいですね。それぞれ仕事があったり、領外にいる者もおりますので」


「そういった人には後でお土産でも渡しておけばいいな」


 アイテムボックスから小さな鍋を取り出し、牛乳を入れて温めるとチョコレートを投入し溶かし始めた。


「なにを作られているのですか?」


「チョコレートフォンデュだ。これにフルーツやパンを付けて食べると美味いぞ。隠し味にブランデーを入れると香りが引き立つ」


 健太がカセットコンロを取り出し、その上に鍋を置いた状態で沸騰しないように注意しながら準備をする。部屋中に広がる甘い香りにエルミの相好が崩れる。ステンカも涎を我慢している表情になっていた。そして机に並べたイチゴを見て二人の動きが止まる。


「こ、これは……。領民達は間違いなく喜びますな。それでケンタ様が取り出されフルーツはシュトロベリアルでしょうか? その幼生体? これほどの高ランクな魔物を狩り取れるケンタ様の国は凄いですな」


「ええ。そうですね。お父様。まさかシュトロベリアルを出されるとは。国王の生誕祭でも出てこないレベルの幼生体がこれほど……」


「いや。普通にイチゴだから」


 驚愕に(おのの)いているステンカとエルミに健太は無表情でツッコんだ。

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