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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第2章 おっさん躍動を始める

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第73話

「ほー。ドラッグアンドドロップが出来るのか。赤枠部分は太字表示されてフォルダも赤くなるんだな」


 ステータス画面に表示されているアイテムボックスを眺めていた健太が感心したように呟く。今まではマス目表示されていたのが、フォルダ構造になった事で収納していたアイテムを取り出しやすくなっていた。また、フォルダ間移動も指で押さえるイメージで動かせる事に気付く。


「今まではどこに入るか分からなかったからな。それと個数の制限は無くなったと考えていいな。後は容量がどのくらい入るようになったかだが……。今のところは78%か。塩を同じように入れて前は90%くらいだったから少し増えたくらいか? それにしてもアイテム名が……」


 フォルダ構造に表示されているアイテム名を見て眉を寄せる。商品名がそのまま表示されているので、単純に分かりずらかった。健太はフォルダ名に【文具】や【食品】などの名称を付けて判別しやすいように調整する。


「これで少しは見やすいな。フォルダだと名前が変えられるんだな。おおサブフォルダも作れるな。後はなにが出来る?」


 健太はコーヒーを飲みながら表示されているアイテムボックスを眺めながら考える。しばらく色々といじっていたが、他になにも思い付かないので諦めるとコーヒーに意識を移した。


「おお……。気付いたらぬるくなってるな。すいませーん。お代わりをお願いします。もちろんホットで」


 思った以上に考え込んでいたようで、コーヒーは冷めている状態だった。残念そうな顔をしながら健太は一気に飲み干すと、マスターにお代わりを要求する。その際にカウンターに様々な物品が置かれている事に気付いた。


「あれ? 物販も始めた感じ?」


「ええ。ちょっと試験的に。これなんかどうです? 面白いでしょ? 豆の形をしている砂糖や、コーヒーマドラーに付いてるのはブラウンシュガーなんですよ。砂糖を中心に扱おうを思って」


「へー。珍しいね。面白そうだから全種類を買うよ。追加でお願いする時は連絡するからよろしく」


 健太の言葉に嬉しそうにするマスター。物販を始めてすぐに売れ、そして大量注文の可能性がでてきたのである。


「それは嬉しい。じゃあ、今日のお代わり分のコーヒーはサービスしておこうかな」


「おお。それは購入を前向きに考えないと。それで、そっちの商品は……」


 お互いに笑いながら入手経路や、他にも入荷予定の商品について熱く語りあった。


 ◇□◇□◇□


「よし。新たな商品もゲットした。後はエルミが召喚するのを待つばかりか。なおからも色々と情報をもらった。これでエルミの領地を発展させて、あの変な領主の息子に目に物見せないと」


 健太はアイテムボックスを眺めながら万全の状態になっている事を確認する。後は週末に召喚されるのを待つばかりとなった健太は、ある種の開放感に包まれながら大きく伸びをしつつ時計をみる。寝るにはまだ早い時間なのを確認するとコーヒーを淹れる事にした。


「コーヒー豆もアイテムボックスに大量に入れたし、ワンコインショップで珈琲ドリッパーも買ってる。コービーミルも手動タイプを5個買ったから、ステンカ殿やマリアンナさんに渡すとしよう。後は俺の中途半端な知識がどこまで異世界に伝えられて、その上で活用出来るかだよな。……。それにしても日本から異世界への一方通行販売で利益が出るんだから本当に凄いよな」


 健太はアイテムボックスから金貨を取しだすと数え始める。今までお世話になっていた業者ばかりを使うと怪しまれると思った健太は、別の金買い取り業者に数枚ずつ売っており残りは金貨50枚となっていた。


「銀貨は思った以上に価格が安かったよな。あれは向こうで利用した方がいいな」


 直章(なおあき)から金貨販売のリスクを聞いていたはずだが、居酒屋で飲んだ際の酔っ払いの叫びであり記憶に残っていない健太は、金貨も銀貨も換金する事にしていた。ただ、銀貨については1枚当たりの提示金額が少ないため異世界で使う事を決めていた。


「今日は……。コーヒープレスを使ってみようか。前は上手く出来たが、今回はいけるかな? タイミングや豆によって味が変わるのも素人ならではの楽しみだよな」


 健太はコーヒープレスに挽いた豆を入れるとお湯を注いで軽くかき混ぜ時間を計りだす。


「おっ。そういえばコーヒーに合うお菓子も買ったんだよな。ようかん! 和菓子だがコーヒーと合うらしい記事を見つけたんだよ」


 健太はアイテムボックスに収納していたようかんを赤フォルダに移動してから取り出す。


「毎回、取り出すために赤フォルダに移動させるのも面倒くさいな。ショートカットを作れるといいんだが……。あっ! しまった!」


 ようかんを取り出し、一口サイズに切ってアイテムボックスについて考え込んでいた健太は、コーヒープレスのツマミを押し込む事を忘れていた。慌てて押し込んでカップに注いで飲んでみたが、長い時間お湯の中で漂っていた豆からは渋みがかなり出ており、間違いなく失敗作であった。


「うう……。苦い。牛乳を大量に入れるか? それともようかんで誤魔化すか?」


 カップに注がれているコーヒーを見ながら苦悩している健太は、渋い顔をしながらも楽しそうにしているのだった。

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