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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第1章 おっさん異世界に召喚される

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第59話

「思った以上の収穫でした。ケンタ様のお陰です」


「いやー。本当っすよね。ケンタ様がいなければ塩のせいでエルミ様はゲオルギーなんて野郎に嫁いでたでしょうし、俺もミナヅキちゃんとも一緒じゃなかった。それにミズキ様とも会えてないし、マリアンナ様の領地にも行かなかったでしょうね」


 エルミの言葉にゲンナディーもしみじみと呟いていていた。そんな二人の会話に健太は参加出来ていなかった。


「き、気持ち悪い……」


 相変わらずの悪路を走る馬車での中で、上下左右に揺れ動かされている健太は猛烈な吐き気と戦っていた。エルミやゲンナディーからすれば、それほど悪路ではないが、健太にとってはあり得ない経験であった。


「は、吐く。ちょ、ちょっと止めてくれ!」


「ど、どうされました!? ゲンナディー! 馬車を止めなさい!」


 ゲンナディーが慌てて止めると、健太は馬車から飛び降りて草むらに向かって思い切って吐く。その後を追ったエルミは周囲を警戒しつつ健太に近付く。


「ゲンナディー! 周囲を警戒。最悪、荷物は破棄しなさい」


「了解っす! それにしてもケンタ様は馬車に弱いですよね」


 馬車から飛び降りたゲンナディーが剣を抜きながら周囲を警戒する。その様子を涙目で見ながら健太は答えた。


「普段なら車酔いなんてしない。……。うっ、うえぇぇぇ。こっちの道路に慣れていない……。うっ!」


 嘔吐(えず)きながらも答えていた健太だったが、やはり落ち着かないようで再び嘔吐感を訴えだした。


「ケンタ様。喋らなくて結構ですから、ユックリとして下さい。お水を用意しましょうか?」


「そ、それは大丈夫だ。自分で水は持ってきている。『現れよ!』……。ふう。なんとか一息ついた。今度は酔い止めの薬も持ってこないと。それとも悪路の対応も上手く解決する事が出来るのか?」


 ペットボトルの水を飲んで、やっと落ち着いた健太の思考が回転を始める。


「なおから借りた本では主人公が解決するんだよな? でもどうやって? あの主人公達はどうやって異世界に行ってから問題解決をしてるんだ?」


「落ち着かれたようですので、改めて休憩をしましょうか? ミズキ様の場所とは少し違いますが、こちらにも小さな水場はありますので。ゲンナディー! 警戒解除。野営準備」


「はーいっす! 準備を始めます」


 顔色を見て健太が落ち着いていると判断したエルミが指示を出す。ゲンナディーは軽い感じで答えると近くの水場に馬車を移動させて、野営の準備を始めた。


 ◇□◇□◇□


「先ほど、ケンタ様が『悪路の対応も上手く解決出来る』と仰っていましたが、そんな事も可能なのですか?」


「ん? ああ。その事か。よく考えたら出来るかどうか微妙だな。第一、どのくらいの量がいるかが皆目見当がつかんし、もう一つは――」


 目をキラキラとさせたエルミに申し訳なさそうに答える。だが、エルミは輝きを曇らせる事なく話しを続ける。


「いえ! 出来る事実が大事なのです! ちなみにケンタ様が考えていた悪路を解消する方法を教えて下さい!」


「お、おう。まず一つ目だが、コンクリートを使う」


「コンクリート?」


 首を傾げているエルミに健太はコンクリートの説明を始める。


「戻ってから詳しく調べる必要はあるが、砂や砂利にセメントを混ぜて水を入れて捏ねて時間が経つと固まる。古代……。2000年前から使われて、今も現役のコンクリートもあるらしい。本当はアスファルトの方が良いかもしれんが、作り方がコンクリートよりも分からん」


「なるほど。そのような魔道具があるのですね。土魔法で固めるのと同じ感じでしょうか?」


 エルミの問い掛けに健太は百科事典アプリを起動するとコンクリートを見せた。


「やっぱり。近いですね。でも、魔力がなくても使えるって事ですよね? だったら価格次第ですが検討の余地はありますね。それで二つ目は?」


「ああ。こんだらを使って土を固める」


「こんだらですか? コンクリートとは違うのですよね?」


「全く違う! こんだらは重い! それを引っ張る事で土を平らにするのだ。俺が学生の頃はよく引っ張っていた」


 懐かしそうに、こんだらを引っ張っていた話しをする健太。その様子を真剣に聞くエルミ。ゲンナディーが野営の準備を終えたと伝えに来るまで、二人はコンクリートとこんだらのどちらを使うかを検討していた。


「それにしても真剣に話し合ってたっすね。いい話ですか?」


「ええ。この街道をよりよくする話しよ。ゲンナディーはどっちが良いと思う?」


 ゲンナディーの言葉にエルミが答え、逆に質問する。エルミから内容を聞いて、ゲンナディーは考えた結論を伝えた。


「俺としては、多少高くてもこんだらをケンタ様に取り寄せてもらって、そのコンクリートってやつですか? それはお試しくらいでいいんじゃないでしょうか?」


「やっぱりそうよね。コンクリートは量がどれくらい必要かが分からないものね。ケンタ様。ゲンナディーが言っているように、こんだらを購入します。ただ、あまりにも高額の場合は検討させて下さい」


「ああ。分かった。多少高くてもこんだらを購入しよう。気にしなくてもいいぞ。マリアンナ殿から金貨を山盛りもらっているからな」


 エルミの言葉に太っ腹な発言をしていたが、こんだらの正式名称が整地ローラーとは気付いていない健太だった。

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