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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第1章 おっさん異世界に召喚される

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第53話

「とりあえずエルミちゃんが、あの憎たらしい奴のところから輸入していた分と同じレベル量で塩を送るね。こっちとの街道も整備されつつあるから、2週間もあれば支援の開始が出来るわね。ん? 違うわ。支援じゃなくて取り引きね」


「ああ。そうだな。俺との取り引きになるな。履行する為の契約書作成が必要だな」


 マリアンナの言葉に健太が頷きながら答える。大きな取り引きなので契約書を作成することになったが、筆記用具等が用意されない事に首を傾げているとエルミが話しかけてきた。


「ケンタ様。これから契約の儀式を行います。こちらに立って下さい。そうです。そこで大丈夫です」


「あ、ああ。これでいいのか?」


 誘導されるままに健太がマリアンナの横に立ち、二人の正面にエルミが立った状態で詠唱を始める。


「ではいきます。『我は契約を見定める者。この者達の間で公正な取り引きが行われる事を認める。破りし者には災厄が訪れるであろう』」


 エルミの詠唱が終わると健太とマリアンナを光が包みこんだ。


「では、お二人の間で契約内容の復唱をお願いします」


 エルミの言葉にマリアンナが塩の援助をする事を。そして健太もカップラーメンや砂糖を納めると答える。すると二人を包んでいた光が両者を結ぶ紐のような物に変わり、徐々に透き通るように消えていった。


「今のは?」


「はい。こちらの世界での契約のやり方です。確かケンタ様の世界では紙に書いて契約をするのですよね?」


「ああ。そうだ。これで契約したことになるのか? それと、この契約は俺が元の世界に戻っても有効なのか?」


 不思議そうに自分の体を眺めている健太の姿を面白そうに眺めていたエルミが答える。


「はい。大丈夫ですよ。500年前の勇者様も同じように契約を結ばれて、一度帰られましたが契約は有効だったそうです」


「なるほどね。じゃあ、俺はしっかりとマリアンナ殿に商品を納めないとな」


 二人の話に混ざるようにマリアンナが会話に参加してきた。


「こちらも塩の用意を明日の朝から始めます。そ、それでケンタ様。あの。きょ、今日は当屋敷に宿泊して頂けるのでしょうか?」


「ああ。そのつもりだったはず。そうだよな? エルミ?」


「はい。ケンタ様が次に戻れるのは5日後になりますので」


 マリアンナを胡乱(うろん)な目で見ながら答えるエルミ。それには気付かずに健太は頷きながら確認をする。


「では。ご厄介になります。それとマリアンナ殿への納品はいつまでとか時期はあるのか?」


「いえ。今回の契約はケンタ様がこちらに来られるタイミングもありますので、時期は特に決めておりません。それについてはお姉さまとも交渉済みです」


 健太がマリアンナに視線を向けると大きく頷いてきた。


「そうです。2日もあればインナーゴウの解体も終わりますので、荷物の積み込みが終わったら一緒にエルミちゃんの家に戻られてはいかがでしょうか? お話では大精霊様とコネクトを結ばれたとの事ですので途中で挨拶をされては?」


「なるほどな。ところでコネクトについて教えてもらってもいいか? あとエルミとのエンゲージも聞きたいんだが?」


 健太の何気ない発言にマリアンナが思わずエルミを凝視する。真っ赤な顔になっている様子に、なにかを察して頷くと軽く首を振った。


「必要な時に本人。エルミちゃんが説明してくれるでしょう。今日は時間も遅くなっておりますので、等屋敷で食事をしてお休み下さい。そ、それと夜伽は必要でしたら私が――」


「いらん! 前の異世界の勇者と一緒にしなくていい」


 途中から急に恥ずかしそうにモジモジしつつ、顔を赤らめたマリアンナに思わず健太がツッコむ。突然の台詞にエルミも驚いた顔でマリアンナを見て叫ぶ。


「はっ! だからそんな顔をしてたのですね! ダメですよ。お姉様。ケンタ様はご自身よりも年上のお方が好みなのでお姉様ではダメですよ!」


「うぉい! エルミ! なに言ってくれてんだ!」


 唐突な勘違いの発言に健太は慌てたようにエルミにもツッコミを入れた。


 ◇□◇□◇□


「ケンタ様。寝ておられますよね?」


「ね、ねえ。いいの? 本当に? 私でいいの?」


 夜の帳が降りる頃。健太の寝室に近付く人影があった。そんな疲れ切ってぐっすりと眠っている様子を二人の女性が覗き込んでいた。


「大丈夫ですよ。ケンタ様にはご迷惑をお掛けしますが……」


「いいのね? 始めるわよ。『我は主と繋がる者。異世界の勇者に微力ながらも力を分け与える者。リンク』」


 詠唱しながら寝ている健太の手を取ると、その甲に唇を落とす。


「これでケンタ様の能力もアップしているはずです。後は、ケンタ様が使い方を見付けて下されば……」


「そ、そうね。それとエンゲージを結んでいる先輩を、私は『お姉様』と呼んだ方がいい?」


「今まで通りで。お姉様は私にとって『頼りになるお姉様』ですから。では、ケンタ様の為に朝食を狩りに行きましょうか?」


 軽い感じのやり取りをしながら二人は部屋から出て行く。そして健太の寝息以外は聞こえなくなった。

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