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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第1章 おっさん異世界に召喚される

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第41話

「まさか今の一瞬で倒した?」


「えっ? ケンタ様? それは魔法ですか?」


 慌てて駆け寄ってきたマリアンナと、健太の背後にいたエルミが呆然とした表情になっていた。ゲンナディーも唖然とした表情になっており、ミナヅキは珍しい物を見たような顔でインナーゴウに近付くと、その上に飛び乗った。


『凄いー。ケンタ様が毒霧でやっつけたー』


「その筒みたいな物から霧が出たが、それで倒したのか……?」


「ゲンナディー! すぐに確認を!」


 エルミの言葉にゲンナディーが反応し、倒された3匹のインナーゴウを並べて調べ始める。エルミに一刀両断された1匹、ミナヅキの水魔法で倒された1匹は原型をとどめておらず、体液をまき散らしている状態だった。


「ケンタ様の倒したインナーゴウは凄いっすね。エルミ様が付けた傷以外になにもない。この倒し方なら素材としても、食料としても一級品っす。ですよね? マリアンナ様?」


「ええ。そうですね。これならインナーゴウの胃袋や貯蔵袋に入っている鉱石も綺麗に取り出せます」


『食材としても大丈夫だよー。毒も残ってないー。ケンタ様凄いー』


 3人からお墨付きが出たので健太はホッとしながら、殺虫剤の有効性を確信して安堵する。


「効果があったようで良かったよ。今から洞窟を進みながら、これを設置したいのだが大丈夫だろうか?」


「い、今からですか!?」


 驚きの表情を浮かべている一同に、健太はサンプルとして用意していた設置型の殺虫剤を取り出してみせる。


「これで倒していく。さっきの霧と同じのが出て、虫を殺してくれる」


「こんな小さな物で? ケンタ様の世界の武器は凄いです。でも、どうやって?」


 健太からかなりの数を設置する必要があると聞かされたエルミは、しばらく考えていたがなにかを決めたかのように頷くとマリアンナに提案をする。


「お姉さま。これを私が設置します。他に逃げ場となるような鉱山の入り口はありませんか?」


「入り口はここだけだけど……。エルミちゃんだけでするつもり? いくらインナーゴウが弱いと言っても群れで襲ってきたら、エルミちゃんが強くても無事じゃ済まないわよ?」


「おい。エルミ。一人でするなんて言うなよ。それに使い方を知らないだろう。俺も行くぞ。むしろ俺がここでの責任者だろう?」


 青い顔をして止めようとするマリアンナを見ながら、健太が呆れたような表情を浮かべてツッコむ。


「しかし。ケンタ様を危険な目に会わすわけには――」


「いまさらの話だな。それに俺の事を『命に掛けて守る』と言ったのは嘘だったのか?」


「そんな事はありません! 私は命を掛けてケンタ様を守り続けます! それがエンゲージを結んだ……。分かりました。ただし! 良いですかケンタ様。私の指示には従ってもらいますからね! 分かりましたか!」


 戦闘の経験のない健太を心配したが、一歩も引くことのない視線を受けて、エルミは諦めた様子で自分の指示に従うように伝える。その言葉に満足した様子で頷いた健太に、ゲンナディーとミナヅキも会話に参加してきた。


「俺もついていきますからね。のけ者は嫌ですよ」


『私もー。ケンタ様を守るー。任せてー』


 一同はお互いの顔を見て笑いあうと、マリアンナに今から突入する事を伝える。


「気を付けて下さいね。ケンタ様。それにエルミちゃんもよ。絶対に無理はしないで。駄目そうなら逃げてね。そして次の手を考えましょ!」


「分かりました。お姉様。安心して下さい。私とケンタ様がいます。それに水の精霊様の加護があれば大丈夫ですよ」


「俺も居ますから! わざとっしょ! 酷いですよ! エルミ様!」


 ゲンナディーの言葉に一同は笑うのだった。


 ◇□◇□◇□


「では、突入する。先陣はエルミに任せるよ。皆、準備は良いか?」


「お任せ下さい! そしてケンタ様は絶対に逃げる事を前提に行動して下さい。ゲンナディーも分かってますよね?」


「はいはい。大丈夫っすよ。いざとなれば俺とミナヅキちゃんでケンタ様を守りながら逃げますから。ケンタ様もいいですよね? なにがあっても俺達と逃げて下さいよ」


 健太の言葉にエルミとゲンナディーが応える。そして一同は鉱山に入った。鉱山はエルミの話しの通り人二人がギリギリ並んで歩ける程度の幅しかなく、高さも2メートルほどしかなかった。


「今の所は気配はないですね。側道も確認しましょう。ゲンナディー、ミナヅキちゃん」


「了解です」


『はいなのー』


 最初の分岐する場所でエルミの指示に従って調査が行われる。健太は油断せずにバズーカタイプの殺虫剤を構えていた。


「ケンタ様。ちなみに、その武器は何度使えますか?」


「もう2回くらいは使えると思うぞ。確認はないが。だが同じ物が9個は持ってきたから安心してくれ。それと、さっき見せた煙幕型の殺虫剤は50個用意している。バズーカタイプの殺虫剤はゲンナディーにも渡しておけばよかったな」


 大量に用意されている殺虫剤に、エルミは今後の方針を再考する。


「ケンタ様。使い方を教えて下さい。私も設置出来た方がいいですよね?」


「そうだな。ここまで来て、一人で先行する事はないだろうしな。だが、1個しか渡さないぞ」


 健太はエルミに幕系の殺虫剤を手渡すと説明を始めた。

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