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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第1章 おっさん異世界に召喚される

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第26話

「やっと理解が追いつきました。ケンタ様は大精霊――。いえ、ミズキ様とコネクトを結ばれて、チョコレートの取引も約束されたと」


「そうだな。まだ、約束はしてなくて、エルミと相談してからだけどな。チビちゃん達も喜んでるから、俺としては取り引きしてもいいと思ってるよ」


『『『『ケンタ様だいすきー。チョコレートもすきー。ついでにゲンナディーも』』』』


「ちょっ! ついでって!」


 健太の言葉に水の精霊達がチョコレート片手に大合唱を始める。そして、発言内容を聞いてゲンナディーがツッコんでいた。


『ふふふ。珍しいのですよ。この子達が、これほど懐くなんて。ゲンナディーさんは水属性の適正がありますからね』


「えっ? 本当っすか?」


 大精霊ミズキがゲンナディーにまとわりついている精霊達を見ながら微笑む。困り顔を浮かべながらも嬉しそうにしているゲンナディーに、エルミも苦笑を漏らしながら話を続ける。


「良かったですね。精霊様と仲良くしたのは領地ではゲンナディーが初めてじゃないですか?」


「そ、そうですか? そうですよね! 帰ったら家族に自慢します!」


『『『えー! ゲンナディー帰っちゃうの?』』』


『私付いてくー』


 一人の精霊が大きく手を挙げて宣言する。後の精霊使いゲンナディーの誕生の瞬間であった。


『ふふふ。では、この子はゲンナディーさんに預けますから大事にしてあげてくださいね』


「は、はい! 分かりました! 大事にします!」


 嬉しそうにゲンナディーの頭の上で踊っている精霊と、羨ましそうに眺めている3体の精霊。自分の発言で話が進んだ事を唖然とした表情で見ているエルミ。


「お、おめでとう。ゲンナディー。自慢どころじゃなくなったわね」


「そ、そうっすね。でも、どうしましょう? エルミ様」


 突然の出来事が続きすぎて理解が追いつかないエルミとゲンナディー。今の状況が歴史的大イベントだとは全く理解できていない健太は、うんうんと軽い感じで頷いていた。


『それではエルミさん。これからの事を相談したいのですが』


「はい! そうですね。まずはケンタ様のをこの世界に召喚した。最初(・・)ケンタ様(・・・・)コネクト(・・・・)した、最初にコネクトしたエルミと申します。お見知りおきをミズキ様」


『ふふふ。ご丁寧な挨拶ありがとうございます。私はケンタ様(・・・・)に、ケンタ様(・・・・)名付け(・・・)をしてもらった大精霊のミズキです』


「ふふふ。良かったですね。二番目コネクトのミズキ様」


『ふふっ。一番だからと喜んでいるエルミさんは可愛いですね。名付けもされてないのに』


 丁寧な挨拶が徐々に不穏な言葉が混じり始め、ゲンナディーと精霊達が肩を寄せ合って震える。


「それで私と共にある、異世界の勇者ケンタ様にお願いがあるとか?」


『ええ。名付けをしてくださったケンタ様にお願いがあるのですよ』


「そうですか。ケンタ様が望まれているなら、願われているなら聞きますよ」


『ふふふ。この小娘……。小娘に遠慮しているケンタ様が可哀想――。判断を任されているなんて羨ましいですね』


 両者は満面の笑みを浮かべながら、青筋を立てつつ会話を進める。そんな二人の様子を見て何も感じていないように見える健太に、ゲンナディーが恐る恐る近付いて小声で話しかける。


「ケンタ様。ちょっと……」


「ん? どうかしたか?」


「いや。『どうかしたか?』じゃなくて。あの二人を止めてくださいよ」


 ゲンナディーの言葉に健太が不思議そうな顔をする。


「止めたら駄目だろ。二人は商売の交渉をしてるんだから」


「いやいや。あれを見て交渉だと? どう見てもケンタ様を巡って争っている女性二人でしょう?」


「えっ? ないない。俺はおっさんだぞ?」


 全く自覚の無い健太が笑いながら否定する。その声を聞いたエルミとミズキは話し合いを止めると、頬を近づけるほどの距離まで詰めて小声で話し始めた。


『あれ? ケンタ様はエルミさんの好意を感じられているのでは?』


「あれ? ミズキさんの魅力にケンタ様がメロメロなのでは?」


 今までのやり取りを思い出しつつ、ゲンナディーから仕入れた情報でも自分の好意は伝わっていると聞いていたことをミズキに伝えるエルミ。


「ちょっと、ゲンナディー。こっちにいらっしゃい」


「な、なんすか? 俺、なにもしてませんよ?」


 エルミに引きずられていくゲンナディーと、それについて行くミズキ。3人を眺めながら健太は肩を竦めると、食後のデザートを取り出して水の精霊達に渡すのだった。


 ◇□◇□◇□


『なるほど。まだチャンスはあると』


「抜け駆けはなしですよ!」


『それはこちらの台詞です。まさかコネクトじゃなくてエンゲージだったとは!』


 なぜかボロボロになっているゲンナディーと、仲良く話しながら戻ってくるエルミとミズキ。


「二人とも仲良くしているようで嬉しいよ」


「ちょっ! ケンタ様! 俺の姿を見て! なんとも思わないっすか!」


「なに言ってるか分からないです」


「なにが『分からない』ですかー! ボロボロですよ! 二人からの詰問されてボロボロですよ!」


 明後日の方向を向いて誤魔化そうとした健太に、ゲンナディーが半泣きでツッコミを入れるのだった。

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