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異世界に呼ばれたおっさん、異世界の知識がないけど頑張る。  作者: うっちー(羽智 遊紀)
第2章 おっさん躍動を始める

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101/112

第101話

 孤児院に併設された喫茶店経営は順調な滑り出しをしており数日が過ぎていた。残念ながら健太の考えたポイント制は住民に理解してもらえず頓挫し、結局は各自が容器を用意する事でコーヒーのみを提供となった。変更後に料金を下げなかったにも関わらず売り上げは好調であり、盛況過ぎるために人手不足となっていた。


「どうしましょう? このままではお客さんから不満が出てくるのは時間の問題ですね」


「そうね。お父様に相談して人を増やしましょう。ケンタ様にも相談しないと。そういえばケンタ様はどちらに?」


 ルイーゼとエルミの二人が人手不足を嘆いていた。そして改善策を相談しようとステンカと健太を探しに孤児院内も含めて探していたが、見付からずに不思議そうにしていると近くを通りかかったゲンナティーが教えてくれた。


「お二人なら奥の作業部屋でコーヒーを淹れてたっすよ。ミナヅキちゃんも一緒に作業してるっす」


「え? ミナヅキちゃんも? 彼女、コーヒー飲めるの?」


「ああ、ミナヅキちゃんは最後の仕上げをしてるっす。あれはインパクトがあると思うっすよー。エルミ様もルイーゼも見てきたらいいっす」


 にししと笑っているゲンナディーに首を傾げながら、教えてもらった場所に向かう二人。扉を開くと、ゲンナディーの言葉通りに3人が作業をしていた。


『こんな感じでどうー? ケンタ様ー』


「おお、いい感じじゃないか。今度のコーヒー外交はミナヅキちゃんのお陰で大成功だな」


「本当に素晴らしいできばえですね。飲むのが勿体なく感じますよ」


『ふははははー。崇め奉るがよいのだー』


 一同のテンションが高い状態でコーヒーを淹れているのを見ながら、エルミとルイーゼが恐る恐るな感じで近付く。


「あの、なにをされているのでしょうか?」


「エルミ? ちょうど良かった。女性の意見が欲しかったところだ。ルイーゼさんも一緒に見てらもらえるだろうか?」


「コーヒーを見る?」

「何を見ればいいのでしょうか? ……。え? 凄い」


 健太が嬉しそうに二人にコーヒーカップを見せてきた。飲むのではなく、見ろと言われた二人が不思議そうな顔でコーヒーカップを覗き込むと、そこには綺麗な花の絵が描かれていた。


「どうだ? 女性目線で評価が欲しい」


「綺麗ですね。飲むのが勿体なく感じますよ」


「私も同感です。これはミナヅキ様が?」


『私の事はミナヅキちゃんと呼ぶようにー。ちなみに、私が描いたのだー』


「はい、ミナヅキちゃんの描いた絵は凄いです! さすがは水の精霊様です!」


 二人から尊敬の眼差しで見つめられているミナヅキは胸を張りながらドヤ顔をする。そんな二人の様子を見て問題ないと判断した健太は嬉しそうな表情になった。


「二人からの高評価を得て問題ないと確信したよ。これを今度の大物貴族達に振る舞おうと思ってね。精霊さまであるミナヅキちゃんが手ずから淹れてたコーヒーだ。かなりのインパクトがあると思うぞ」


「そうですね! これはケンタ様が考えられたのですか?」


 エルミの尊敬混じりの視線を受けた健太だったが、苦笑しながら首を振ると訂正する。


「そうだ。俺が考えた。と言えば格好いいのだろうが、残念ながら4人で考えた。俺の発案をステンか殿が問題ないと判断し、ゲンナディーがミナヅキちゃんに絵が描けるとかと確認し、そしてミナヅキちゃんが実際に精霊の加護を使って完成させた」


 実際にやって見せようと、健太がミナヅキにお願いする。


『任せるのだー。私の力があればラテアートは簡単に出来るのだー』


「ラテアートとは? このコーヒーの淹れ方ですか?」


「ああ。そんな感じだ。本来ならエスプレッソに撹拌(かくはん)させたミルクを入れてから絵を描くんだが、ミナヅキちゃんは精霊の加護で描き上げるからな。本当に異世界は凄いと感じるよ」


 ミナヅキが軽い感じで歌を口ずさみながら人差し指を動かすと、ラテアート用に準備されていたコーヒー牛乳が突然泡立ち始める。そしてミナヅキの指の動きに従って濃淡が付き始め、徐々に形を作り始め見ている間に完成に近付いていく。ミナヅキの動きは見る者を引きつけ、出来上がる頃には虜になっていた。


『出来たのだー。ふははははー。ケンタ様ー。ご褒美のおやつー』


「はいはい。今回は金平糖にしよう」


『やったー。ケンタ様大好きー』


 金平糖を受け取ったミナヅキは、健太に抱きつき嬉しそうに飛び回りながら感謝を表現する。そんな様子を眺めながら、一同は用意されたテラアートの試飲タイムに移った。


「絵が崩れるのが勿体ないですね」


「それでいいのだよ。また、来たくなるだろう? そういった効果も狙っているのだよ。1回限りの訪問で満足してもらっては希少価値が出ないからね、水出しコーヒーやラテアートだけでなく、色々なコーヒーを毎回楽しめるようにしている。もちろん、ケンタ殿が用意してくださったお菓子も有効活用しないとね」


「さすがはステンか殿。そこまでは私は考えが及びませんでした。お客さんが喜ぶ事しか思い浮かばなかったですね」


 エルミの感想にステンカが現時点で決定している事を説明する。その横で健太は大きく頷きながら、現領主であるステンカを賞賛するのだった。


「そういえば、エルミはなにか用事があって来たんじゃなかったのか?」


「そうでした! ケンタ様、お父様。人手が足りないのですが、どうすればいいでしょうか?」


 エルミの相談に健太とステンカは顔を見合わせると、効率化と増員の検討を始めた。

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