絶叫を上げる暇もない衝撃
コマ切れの肉を買った。塩コショウも買った。
1人暮らしだから肉焼いて塩コショウかけりゃ米なんていくらでも食える。
駅から徒歩15分の築30年のボロアパートに帰った。もちろん1階だ。
隣には昔はヤクザをやっていてずいぶん派手に暴れたもんだと毎日話しかけてくるじじいが住んでいる。うんざりだ。
上着を脱ぎ、冷蔵庫からビールを取り出し、飲みながら調理を始めようとした。
フライパンが昨日使ったままだった。洗っていない。乾燥した何かがこびりついている。めんどくささが体中からあふれ出し、肉を冷蔵庫にしまった。
ビール片手に何か調理せずに食える物は無いかと、冷蔵庫をまさぐる。何も無い。台所の下の扉を開けまさぐる。シーチキンか。
シーチキンの油を切り、小鉢に開けた。俺はマヨネーズなんてかけない。醤油とわさびをシーチキンと混ぜ合わせた。これがうまいんだ。ほんとは刻んだネギも合わせるとうまいんだが、あいにく切らしている。
ようやく落ち着いた。テーブルにはわさび醤油シーチキンとビール。もはや2缶目。
テレビを見ながら飲んでもなんだか味気ない。秋口だから少し寒いかと躊躇したが、窓を開け星空を眺めてみた。
曇りだ。
窓を閉め、お香を焚いてレゲエをかけた。ミスマッチに感じるかもしれないが、俺はこれが好き。
お香の匂いが晩酌には全く合わない。ビールもシーチキンもまずく感じる。
田舎出身で大学進学と同時に上京。大学で遊び尽くした結果、無事留年せずに卒業できたものの、バイト暮らしの日々。大学時代の友人はだんだんと疎遠になり、今やほとんど連絡は無い。彼女は大学の友人だと思ってた奴に寝取られた。
明日はバイトは休み。予定も無し。
過去の事を振り返り、懐かしさよりも寂しさや現状の侘しさを振り返ると、毎日の楽しみだった晩酌すらひどく惨めに感じてくる。
独りぼっちで、遠い土地で、定職にも着かず、場末のアパートの汚い部屋で何をワクワクすることがある。あるはずがない。
そう思いながら、とりあえず目の前のシーチキンをビールに手を伸ばした。
それでもうまい。
そのうまさが更に惨めな気分にさせた。気分はどんどん落ちて行くが、ビールの数だけは進んでいった。思い出と現状を比較し、惨めな気分に浸りながら。見えない未来を嘆くこともなく。過去だけを振り返って。
だいぶ酔いが回ってきた時、おもむろ窓を開け、そこから飛び降りた。
いてっ




