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ななつめ 『死と救いと浄化と、過去にもう戻れぬ新しき私の目覚め』

 また、今日も夜がやって来た。

 美しき夜。解放の夜。休息の夜。希望の夜。

 私にとって、夜は救いそのものだった。私は夜に、救われていたのである。


 少し背を伸ばし、窓から外を覗く。

 私の夜は、決して静かではない。鳥は鳴き、星は瞬き、犬が吠え、月が見つめる。

 私は外に出られないけど、外に夢を見続けられるだけ、むしろありがたいとも言えた。


 何もすることがないから、ずっと夜を見ていた。

 

 やがて、空がゆっくりと白み始め、世界が朝へと切り替わり始めたのを知る。

 朝は嫌いだった。吐き気がする。けれど、目を逸らすことができない。悪魔に魅入られるかのように、私は朝が来るのを待った。

 太陽。光が眼を差す。じりじりとした感覚が全身を走る。虫酸が走る。胸がぐんと痛くなってくる。

 

 私は耐え続けた。まるで、あの、日光を克服しようと昼間外に出て焼死したバンパイアのように。


 その時だった。

 浄化、世界が、私が、薄れて、消え行く。

 ああ。私はすべてを悟った。


 光。それが闇の対極にある理由。

 私は闇の人間だった。光は闇を浄化する。


 あああ。消えていく、消えていく。死んでいく。消えていく。

 最後に残った感覚は限りなく幸せな自分。それは、闇が消え、光へと同化する新しい私の欠片。


 そして、もう闇を思い出すこともなくなる新しい私の分離。


 私の新しい人生は、その時始まるのであった。幸福な、人生の幕開けである。

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