表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/958

第2章 奈菜と出会ったコンビニ(その37)

「えっ?・・・僕が“うん”と言うって、・・・・・、一体、どういうこと?」

哲司は、思い当たることがない。


マスターからも、「そうした過去があることが分っても許せるのであれば、是非、孫娘と付き合ってやって欲しい」と言われただけである。

そこには、言葉には出なかったが、当然に「子供をどうするのか」ということは解決済みだとの前提があると思われた。


ただ、自分の意思ではない状況下で、結果として「妊娠」に至る行為が行われた事実だけを許せばいいと考えたのだ。



「だから・・・・・。この子の話。」

奈菜は、そう言って自分の腹部を撫でる。


「そんな話は聞いてないよ。」

哲司は毅然とそう言う。

これは事実だから、明確に答える。



「ちょっと待ってて・・・。」

奈菜はそう言い残すと、席を立ってカウンターの方に足を運ぶ。

マスターに確かめるつもりらしい。


哲司は目だけで、その姿を追っている。



奈菜がカウンターの前に行った。

そして、中にいるマスターに何事か言っている。

時折、哲司のほうをちらちらと見てくる。


マスターがこれまた何事かを話している。

そして、奈菜に、カウンターの前においてある少し背の高い椅子に座るよう勧めているようだ。

だが、奈菜は納得していないようで、その椅子に座らないで、一言二言投げるように返してから、また哲司のいる席の方へと戻ってくる。



「ごめんね。早とちりして。

店長が、全てを話したから・・・って言ったものだから・・・。

もう、てっきり、てっちゃんにも話が伝わっていると思っちゃった。

本当に、ごめんなさい。」

奈菜は、席に座ってから、一気にそれだけの言葉を立て続けに並べた。



「・・・・・・・・・・・」

奈菜の勘違いであることだけは哲司にも理解できたが、改めて「まだ聞いていない話」があるのだと気がつかされる。


だが、その内容は想像も付かない。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ