表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
782/958

第8章 命が宿るプレゼント(その121)

「う~ん・・・、そうなのかなぁ~?」

哲司は、まだ納得が行かない。


今のクラス、別に哲司が選んだメンバーではない。

学校が勝手に決めて貼り出すだけだ。

「お前は何組だ」と・・・。



「そのクラスの中でだ。哲司は、一定の役割をちゃんと果たしているってことだ。」

祖父は、頷くようにして言う。


「ん? ぼ、僕は、別に何かの委員や班長でもないよ。」

哲司は単純にそう答える。

祖父が言った「一定の役割」を、そうした何かの役だと思ったからだ。


「あははは・・・。そうか、哲司は、学級委員でも班長でもないのか。

でもな、爺ちゃんが言った一定の役割ってのは、別にそういう役のことを言ってるんじゃない。」

「じゃあ・・・。」


「良いか? さっきも言ったが、クラスにはいろんな子がいる。

でもな、どの子ひとり欠けても、それはクラスとしては成立しないんだ。

つまりは、30人のクラスだったら、その30人がちゃんと揃って翌年1学年上がれることがクラスの目的なんだ。」

「クラスの目的?」


「ああ、そうだ。

そうしたちゃんとした、はっきりとした目的があるから、皆が共同で勉強したり運動したり遊んだりするんだぞ。」

「・・・・・・。」


「そうしたことは、家族の中と同じなんだ。いや、日本という国と同じなんだ。」

「ええっ! ・・・。」

哲司は、頭が混乱する。



「よ~し! これで、後はお釜が鳴くまでほって置けば良い・・・。」

祖父は、両手を叩くようにしながら、かまどの前で立ち上がる。


「・・・・・・。」

哲司は、今、祖父が何を言ったのかさえ分からなかった。

そう、言わば、右の耳から入った言葉がそのまま左の耳から出て行ったようなものだ。

それほど、その前の話に強烈な印象を受けていた。



「ご苦労さんだったな。ちょっと、一服するか?」

祖父はそう言いながら、土間から台所へと上がっていく。

そして、冷蔵庫から冷えたお茶を出してくる。


哲司も、それを見て、喉が乾いていることを思い出した。



(つづく)





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ