第2章 奈菜と出会ったコンビニ(その35)
「いや、そんなこと、思いはしないけれど・・・・。」
哲司の思いは複雑である。
「でもさ、言わなかったら、僕は知らないままじゃん。
そうして嫌われるかも知れないなと思っているのに、どうして店長に話してくれって頼んだりしたの?
そこんところがね・・・・・。」
そう言ってから、奈菜の顔を覗き込むようにする。
「じゃあ、黙ってたままの方がよかった?」
奈菜が下から見上げるようにして問い返す。
「てっちゃん、後でそれを知ったとしたら、怒らない?
黙って許してくれるの?」
確かに痛いところを衝かれてはいる。
男というものは、これは若いかどうかではなくて、やはり自分勝手なものである。
とりわけ、男女関係においては、その傾向が強くなると哲司自身も思っている。
同世代の友達の間では、恋愛をまるでテレビゲームのように捉えているところがある。
恋愛をしていないと、つまりは恋人のひとりやふたりいなければ、取り残されたような気になるのだ。
だから、ひとつの恋が終わると、すぐに次のゲーム相手を探すことになる。
常に恋愛というゲームをしていなければ落ち着かないし、勉強とか仕事とかにも身が入らない。
このことは、別に男に限らない。
今や、女の子の方が、より積極的にそうしたゲームに参加をしてきていると感じることさえある。
そうした部分だけで言えば、哲司はやや取り残されているグループに入るのかもしれない。
学校も、4年制の工業高校だが卒業してしまったし、一旦はその学校の紹介で家電量販店に勤めたものの、嫌になって僅かな期間だけで辞めてしまっていた。
そして、今はと言えば、実家からの仕送に依存して生活している。
アパートの家賃を支払えば、手元に残るのは2〜3万円程度である。
それを食費に充当している。
それ以外にお金が必要となったら、アルバイトをしてその分を何とか補充する。
つまり、本業は何かと言われれば、答えようが無い状態である。
今、流行の言い方をすれば「フリーター」か「ニート」なのだろう。
一昔前の「無職」という言い方よりはマシだとは思うが、横文字だからといって「フリーター」がカッコいいとなどとは一度も思ったことは無い。
だから、恋愛ゲームにもなかなか参加できなかったのだ。
(つづく)




