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第8章 命が宿るプレゼント(その106)

「そうした大人は、子供時代に、きっときちんとした火の扱い方を教えられなかったんだろうな。」

祖父は、まるで自分が悪かったような言い方をする。


「だ、だからって・・・。」

哲司も、例えそうであっても、放火するなんて悪い事だと思う。


「火だけじゃない。

車も、金属バットも、ナイフも、庖丁も・・・だな。」

「ん?」

哲司は、どうしてここで車の話なんか出るのだろうと思ってしまう。

で、祖父の顔を覗き込むようにする。



「火は別にして、そうしたものすべては、人間が自ら生み出したものだ。

こうしたものがあれば便利だから、社会に必要だからと作り出したものだ。」

「う、うん。」


「だけどな、そのいずれもが、その使い方を間違えば、それは人を殺せる凶器となる。」

「ああ・・・、そ、そうだね・・・。」

ここまで来て、ようやく哲司もその意味が分ってくる。


車の運転を誤って交通事故が起きる。

それで人が死ぬこともある。

毎日のようにどこかで事故があって何人もの人が死んでいる。


金属バットで自分の父親を殴った中学生の事件がテレビで放送されていた。


ナイフだって、簡単に人が刺せる・・・。

だからなのか、哲司が通う小学校でも、ナイフの持参は禁止されていた。

見つかれば、担任に取り上げられた。


「確かに、今の社会生活では、そのいずれもがなくてはならないものになっている。

必要だから、昔の人が考え、作り、広めてきたんだな。

そうでなければ、作ることさえ禁止された筈だ。

そうだろ?」

祖父は、哲司の反応を確かめるように顔を見つめてくる。


「・・・・・・。」

哲司は、黙ったまま何度か小さく頷く。


「これは人間が作り出したものじゃあないが、火だって同じなんだな。

便利だし、これがなければ生活がやって来れなかったんだからな。

極端なことを言えば、火があったからこそ、そして、その火を使いこなしてきたからこそ、人間はここまで生き延びてきたんだ。」

「い、生き延びて?」

哲司は、その表現に違和感を持った。


「ああ、そうだ。

人間が火を使えなかったとしたら、もうとっくに絶滅してただろう。」

「えっ! 絶滅?」

哲司の脳裏に、石器時代の人間の絵が思い浮かんだ。




(つづく)



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