表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
750/958

第8章 命が宿るプレゼント(その89)

「それが、哲司の良いところでもあるし、欠点でもある。

そういうことだな。」

祖父は、納得をするのか、何度も頷きながら言う。


「良いところ?」

哲司は、自分にとって耳触りが良い部分だけを捉えて問い返す。


「ああ・・・、だけど、欠点でもある。」

祖父は、哲司のそうした気持が分かるのだろう。

ちゃんと付け加えるべきことを再度言ってくる。


「・・・・・・。」

哲司は、グーの音もでない。


「懸命に爺ちゃんの話を聞いてくれるのは嬉しいしありがたい。

だけどな、その一方で、30分経ったら教えてくれって頼んでいたのを綺麗に忘れていたのは罰金もんだ。」

「ば、罰金?」

哲司は、その言葉に驚く。


「そうだろ?

爺ちゃん、確かに哲司にそう頼んだろ?

時計の時間まで確かめてもらったはずだ。」

「う・・・、うん・・・。」

「それなのに、哲司はそれを忘れた。」

「う、うん・・・、そうだね。」


「いいか?

今日から、爺ちゃんと哲司は一緒に生活をするんだ。

言わば、短い間でも、家族なんだ。」

「家族?」

「ああ、そうだ。

家族ってのは、共に生活をするという社会の最小単位なんだ。」

「・・・・・・。」


「難しいことを言いたくはないが、その家族の中では、例え子供であっても、それなりの役割ってのが与えられている。

無理な事は言われていない。

それぞれの子供に、その年齢や能力に見合った役割があるんだ。

だから、哲司にも、そうした事を頼んだんだ。」

「・・・・・・。」


「約束ってのは、別に友達や第三者と交わすものじゃあない。

家族の中でも、互いにそうした約束を繰り返す事で生活が成り立っているんだぞ。」

「・・・・・・。」


「爺ちゃんが哲司に頼んだんだ。

それは、爺ちゃんが忘れたら困るからだ。

米を研いでから30分以上そのままにしておくと、炊き上がったご飯はべちゃべちゃなものになる。

それは、それを食べる爺ちゃんにとっても哲司にとっても嫌なことだろ?」

「じ、爺ちゃんも忘れたりするの?」

哲司は、その言葉がやけに気になった。




(つづく)






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ