表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
747/958

第8章 命が宿るプレゼント(その86)

「じゃあ、あの本、一体どうしたんだろう?」

祖父は、依然として納得がいかないようだ。


「・・・・・・。」

哲司は、祖父がそんなことにそこまで拘るのかが理解できない。


「あれだけ憧れていたのになぁ・・・。」

祖父は、哲司の母親の心境の変化が理解できないらしい。


「えっ! あこがれてた・・・って?」

哲司が思わず問い返す。

誰が、誰に憧れを抱いていたと言うのだろう。

そもそもがアニメである。



「いやな、哲司のお母さんは、“サザエさん”に出てくる磯野家がこの家と似てるって思っていたみたいでな・・・。」

「ん? この爺ちゃんの家と?」


「ああ・・・。両親と子供が3人ってところがだろうな・・・。」

「ああ・・、それはそうだね。カツオ、ワカメ、そしてタラちゃん・・・。」

「ん? そ、それは少し違うんだが・・・。」

祖父は笑いながら、そう指摘する。


「えっ! 違うって? ど、どこが?」

哲司は毎週見ているアニメだから、間違ったことを言っているとは思っていない。


「お父さんとお母さんがいるだろ?

えっと、確か名前は・・・。」

「波平と舟。」

「おぅ、さすがに、良く知ってるなぁ・・・。

でもな、その波平と舟の夫婦の子供は、サザエ、カツオ、ワカメで、タラちゃんは、そのサザエの子供なんだ。

つまりはだ、波平や舟から言えば、孫に当たるんだ。」

「あああ・・・、そうか、そうだった・・・。」


「だ、だったら・・・。」

哲司は可笑しなことに気が付く。今更ながらにだ。


「ん? どうかしたか?」

「サザエさんと、カツオ、ワカメは、随分と歳が離れてるんだねぇ・・・。」

哲司は、テレビの場面を思い出しながら言う。


確かに、アニメの中では、カツオやワカメがサザエのことを「お姉ちゃん」と呼んでいるのは頭にあった。

それでも、テレビを見ていて、その3人が兄弟だとは感じてはいなかった。

ひとつには、サザエが大人であって、カツオとワカメが小学生だったからだ。


「そ、そうだなぁ・・・。設定としては、サザエさんは20代前半なんだろうが、ま、それにしても相当に歳は離れているなぁ・・・。」

「おかしくない?」

哲司は、ありえないような気がして、そう言ってみる。

アニメの事だとは分かりつつもだ。




(つづく)






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ