表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
735/958

第8章 命が宿るプレゼント(その74)

「もう少し中央にだ。」

祖父は、哲司が置いた踏み台の位置を修正させる。


「こ、これぐらい?」

「ああ・・・、そんなもんだな。で、乗ってみな。」

「う、うん・・・。」

哲司が、踏み台の上に昇る。


「どうだ? お釜の中がちゃんと見えるか?」

「うん・・・、ちゃんと見えるよ。」


「よ~し・・・、だったら、これからやって見せるからな。

しっかりと見ておくんだぞ。」

「う、うん・・・、分かった・・・。」

哲司は大きく頷いてみせる。



「まずはだな・・・、これに水を入れる。」

祖父は、そう言って水道の蛇口を勢いよく捻った。

そして、お釜の中に水を注ぎ入れる。

で、米がすべて水の下に沈んだ頃を見計らって水を止める。


「最初は、さっと掻き混ぜる程度で、この水を捨てる。」

祖父は、そう言いながら、手はそのとおりに動かせていく。

2~3回かき回すようにした後、お釜を傾けて中の水を流していく。


「このとき、手をこうして当てるんだ。」

祖父が大きな手を見せて言う。


「ん? どうして?」

哲司が訊く。


「中の水を流せば、それと一緒に米粒も流れていくからだ。

そうならないように、こうして手で受け止めるんだ。

折角ちゃんと計った米が流れてしまったらもったいないだろ?」

「ああ・・・、そっか・・・。でも、難しそうだね。」

哲司は素直な感想を言う。


「大丈夫だ。哲司がやるときには、この下にザルを置いてやるから。」

「ええっ! そ、それ、僕がやるの?」

「もちろんだ。明日からは、哲司にやってもらう。だから、教えてるんだ。」

「う、う~ん・・・。」


「ん? どうした?」

「ぼ、僕にできるかなぁ?」

哲司にはまったく自信が無い。


「ほら、それが哲司の悪いところだ。」

「ん?」

「何でもそうだが、やる前から、“出来そうに無い”って思ってしまう。」

「・・・・・・。」

そう言われると、何ら反論が出来ない哲司である。




(つづく)





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ