表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
723/958

第8章 命が宿るプレゼント(その62)

(た、確か・・・、このハカリは重さを計るもの・・・。

で、でも・・・、6合っていう重さは無いし・・・。)

哲司は眉間に皺が寄る思いだ。


「良いか。これから爺ちゃんが言うことは大切なことだ。

よ~く聞いて、覚えて置けよ。」

「う・・・、うん・・・。」

哲司は、生唾を飲み込んで答える。



「この升で計れるのは“量”だ。

米を計っても、砂糖や塩を計っても、水や酒を計っても、さらに言えばポン菓子を計ってもそれは同じ1合という量になる。」

「そ、そのポンガシって?」


「ああ・・・、そりゃあ、哲司は知らないだろうな。

まあ、今で言えば、ポップコーンのようなものだ。」

「ポ、ポップコーン?」


「でもな、だからと言って、その重さが同じかと言えば違うんだな。

つまり、“量”と“重さ”は別なんだ。」

「・・・・・・。」

哲司は、相変わらず難しい顔をしている。

聞けばそのとおりだと思えるのだが、少しでも角度を変えられると、もう答えられなくなる。

それが、学校や家でのいつもの哲司だった。


「哲司、学校から遠足に行くだろ?」

「う、うん・・・。」

「その時にだ、このビニール袋一杯に入るものだったら、何でも好きなおやつを入れていけると言われたとしよう。」

「う、うん・・・。」


「哲司だったら何を入れる?」

「う~ん・・・、チョコレートかな?」

「ホップコーンはどうだ?」

「う、うん・・・、それでも良いよ。」


「でもな、よ~く考えてみな?

この袋一杯のチョコレートって相当に重たいぞ。

食うのも大変だが、運ぶのも大変だ。

その点、ポップコーンだったらどうだ?」

「か、軽いよね。」


「だろ? 

それと同じで、同じ1合という量でも、その中身によってその重さは全然違ってくる。」

「う、うん・・・、そうだね。」

こう言われると、哲司でも頷けるから不思議だ。



「そこでだ。このふたつのボールの重さを計ってみる。」

祖父は、そう言ったかと思うと、ひとつ目のボールを秤の上に乗せた。




(つづく)






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ