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第8章 命が宿るプレゼント(その29)

「水とも上手く付き合えない人間が多くなったってことかなぁ~。」

祖父は、手で「もう上がれ」と示しながら言ってくる。


「えっ! もう、出ないと駄目?」

哲司は祖父の言葉より、その手が示したことに不満を言う。



「ああ・・・、もうそろそろな。」

「ど、どうして? もう少しこのままいたら駄目?」

哲司は、祖父を振り返って見上げるようにして言う。


「ああ、日が高いしな・・・。」

「ん?」

「哲司の肌に悪い・・・。」

「う~ん・・・。」

哲司は、「僕は男だよ?」と思った。


「都会で感じる日光と、ここでの日光は、全然その強さが違うんだ。

お天道様の力を甘く見たら駄目だ。」

「ん? どういうこと?」

哲司は、言われた意味が分からない。


「哲司は、家でも、外で遊んでるからって思ってるんだろうけど・・・。」

「う、うん・・・。」

「ここで、こうして直接日光を浴びていると、その数倍の日光を浴びてる事になる。

つまりは、都会での1時間はここだと20分ぐらいなんだ。

だから、哲司はもう何時間も外で遊んでいたのと同じだけ日光を浴びているってことになる。」

「そ、そうなの?」

「ああ・・・、だからな、これ以上こうしていると、今晩寝るときにチリチリ痛くなる。」

「ええっ! そ、そうなの?」

「ああ・・・、だから、もう上げれと言ってるんだ。」

「わ、分かった・・・。」

哲司は、タライから立ち上がった。


祖父が用意していたバスタオルを広げてくれる。


「海水欲に行くと、よく日焼けするだろ? プールよりも。」

「う、うん・・・、そうだね。」

「あれと同じだ。」

「で、でも、それって、水が海水だからじゃないの?」

哲司は、誰かからそう聞いたような気がしていた。


「いや、水の所為じゃない。あくまでもお天道様の強さだ。

海とか、ここだと、空気中の汚れが少ないだろ?

だから、日光の大半が地面まで届くんだ。

おまけに、反射光がある。」

「ハンシャコウって?」


「海だと、砂浜に光が反射する。ここだと、周囲の木々に反射する。

そうした光も浴びるんだ。

つまりは、真上からの日光だけじゃなくなるんだ。」

祖父は、広げたバスタオルで哲司の身体を包むようにして言ってくる。



(つづく)





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