第8章 命が宿るプレゼント(その25)
●読者の皆様、しばらく更新が出来なくって申し訳ございません。
日頃の不摂生が祟ったのか、高熱が出て臥せっておりました。
ようやく少しは落ち着きを取り戻してきましたので・・・。
これからも、どうぞよろしくお願いを致します。
「宿題の事なんかも?」
哲司は自分と比較するかのように訊く。
「ああ、もちろんだ。今日の宿題は、これとこれで・・・。
これはもうやったけれど、これはご飯を食べてからするんだとかな・・・。」
祖父は、まるでその当時の場面を再現するかのような言い方をしてくる。
「へぇ~・・・。」
哲司は、グウの音も出ない。
単純に時代が違うんだとも言いきれない何かが哲司を黙らせる。
「それにな・・・。
当時は、子供部屋なんてなかったしな。
ご飯を食べてる食卓が、ご飯が終われば子供たちの勉強机になるんだ。」
「えっ! じゃ、じゃあ・・、そこで皆勉強してたの?」
「ああ・・・、そういうことだ。
だから、上の子が下の子の勉強を見てやって、親は一番上の子の勉強だけを見てやればそれでよかったしな・・・。
兄弟がいるってことは、そうした点でも良かったんだ。
自分より小さい子の世話を自然とするようになるからな。」
「・・・・・・。」
「哲司は、そうしたことを両親に話したりはしないんだ?」
「う~ん・・・。」
「どうしてなんだ?」
「ど、どうしてって言われても・・・。」
「じゃあ、ご飯を食べるときには、黙ったままか?」
「う~ん・・・。黙ったままってこともないけど・・・。」
「だったら、どんな話をするんだ?」
「・・・・・・。」
哲司は、明確に答えられなかった。
食事のとき、テレビは付いたままだ。
6時からはニュースを見せられる。
それは父親が見ていたからだ。
そして、6時半からは漫画を見るのが許されていた。
別に、誰かがそう決めたという意識はなかったが、気が付いたら、そうなっていた。
だから、何かを話すにしても、どうしてもそのキッカケはテレビの番組からに限定をされる。
しかも、その大半は、テレビの話題や近所からの情報に基づいた母親の一方通行だった。
例えば、テレビで若者が集団で何処かの店で強盗をやったとする。
それがテレビで流される。
するとだ。
「最近の若い人って怖いわよね。どうしてあんな悪い事ばかりするのかしら。
親の顔が見て見たいわ。」
などと言う。
もちろん、父も何も言わないが、哲司とてそれに答えられる言葉は持っていなかった。
(つづく)