表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
684/958

第8章 命が宿るプレゼント(その23)

「そ、そうなんだ・・・。」

哲司も、今の祖父の説明には、それなりに頷けるものがある。


書き取りの宿題をプリントで出されて、それは何とか教科書を見ながら書き込んだ。

そして、その翌日、そのプリントを提出させられた。

数日してから戻されてきたそのプリントには、赤いペンで「よく出来ましたね」と先生の一言が書いてあった。


その時には、哲司は「やっておいて良かった」と自分だけの立場で物事を考えていたが、よ~く考えれば、先生はクラス全員のプリントをチェックして、○を入れたり、修正を加えたりをしていたのだ。

その中の1枚が、たまたま哲司が提出したプリントだったというだけだ。



「だからな、本当は、先生だって宿題なんか出したくはない筈なんだ。

その後の作業が大変なんだしな。

それでも、宿題は大切なんだ。

だから、そうして毎日のように出すんだ。」

「・・・・・・。」

哲司は、何とも不思議な感じがして祖父の言葉を聞いている。


同じような話しは、学校の先生とも親とも話したことがあった。

「どうして宿題なんか出すのか?」

「どうして宿題ってやらないといけないのか?」


それでも、今の祖父のように、その意義を哲司が納得できるように説明された記憶はなかった。

「必要だから出しているの。」

「宿題はするのが当たり前でしょう?」

そうした議論で、終止符を打たれていた。



「だからという訳ではないんだが、やっぱりな、学校であった出来事は、それなりにお母さんには話をしておくことが大切なんだ。」

「う~ん・・・。」

哲司も、その話になると、いまだに「そうだね」とは肯定できない。


「宿題だってな、生徒に対して、今日の勉強を忘れないでねっていう意味もあるんだが、もうひとつは、そこまで進んでいるんですよという、父兄、つまりは生徒の親に対する先生の情報でもあるんだ。」

「・・・・・・。」

「子供に対する教育ってのは、学校だけ出るものじゃあないし、家だけでやれるものでもない。

つまりは、学校の先生とその子供の親との協力があってこそ、ちゃんと機能するもんなんだ。

そのどちらが欠けても、まともな子供は育たない。

そういうことなんだ。

だから、学校であったことは、ちゃんとお母さんに話しておくべきなんだぞ。」

「そ、そんなあ・・・。」

哲司は、やはり肯定できない。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ