表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
677/958

第8章 命が宿るプレゼント(その16)

「爺ちゃんのこの家でも、風呂を作ったのは昭和40年だ。」

祖父が説明をする。


「昭和40年?」

そう言われても、哲司はピンと来ない。

哲司が生まれたのも「昭和」だが、物心が付いた頃には既に「平成」になっていた。

だからでもないのだろうが、「昭和」と聞くと、何とも昔のことのように感じるのだ。


「じゃあ、それまでは?」

哲司は、「だったら風呂はどうしていたのか?」と思ってしまう。

まさか、年がら年中この行水をしていたわけじゃあないだろうと思う。

冬だってあるのだ。


「庄屋さんの家の風呂を借りに行っていたんだ。」

「ショウ屋さん?」

哲司は、その言葉の響きから、何かを売っている店なのかと思ってしまう。

それでも、それと風呂が繋がらない。


「あははは・・・・。そうだなぁ・・・。庄屋ってのも分からんだろうなぁ・・・。」

祖父がまたまた笑いながら言う。


「まあ、簡単に言えば、今で言う村議会の議長さんみたいなものかな?

つまりは、村の代表者だったんだ。

皆の意見を取りまとめて、行政、つまりは村役場に“こうして欲しい”と言いに行くような役割の家だったんだ。」

「へぇ~・・・。」

そうは言ったものの、哲司にはその実態は分からない。

ただ、何かの店ではないことだけは理解した。


「庄屋さんの家は代々大きくってな。

そこで働く人も多かったんだ。

だから、風呂も大きいのがあった。」

「そのお風呂に入れてもらってたの?」


「ああ、週2回ぐらいだけどな。」

「そ、そうだったんだ・・・。」

哲司は、毎日風呂に入れられているが、昔はそうではなかったんだと知る。


「だからな、そうした風呂が借りられない日だと、こうしてタライで身体を洗ったんだ。」

「ふ、冬でも?」

「ああ・・・、大きな鍋に湯を一杯に沸かしてな、それを入れて、そこに水を加えるんだ。」

「へぇ~・・・。」


「その頃の都会じゃあ、風呂屋ってのがあった。

つまりは、金を取って風呂に入れるという商売だな。」

「ああ・・・、お風呂屋さん?」


「ん? 哲司は、それは知ってるのか?」

祖父は、哲司の口から「お風呂屋さん」という言葉が出たことに驚いたようだった。



(つづく)





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ