表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
618/958

第7章 親と子のボーダーライン(その217)

「・・・・・・。」

哲司は答えられなかった。


「だ、だれ? お兄ちゃんなの?

また、驚かせようって?

もう、その手は食わないわよ。

そんな暇があったら、手伝ってよ。」

中にいる子供は、どうやら女の子のようだ。

姿はまだ確認出来ていないが、哲司よりはちょっとだけお姉ちゃんのような感じがする。


(そ、そんなこと・・・、言われても・・・。)

哲司は、自分が誰かと勘違いされたのは分かったものの、だからと言って「僕は違います」とも言い出せない。

で、知らず知らずのうちに後ずさりをしていた。


「ねぇったら・・・。」

そう言って、中から女の子が飛び出してきた。

上下、紺色のジャージを着ていた。

で、長い髪を後ろで束ねている。



「あ、あら! 御免なさい・・・。」

女の子は、自分が勘違いをしていたことに気がついて言う。


「ど、どこの子? 見かけない子ね。」

女の子は、タオルで吹き出る汗を拭いながら、哲司の顔をマジマジと見てくる。

中学校に通うぐらいのお姉ちゃんだ。


「・・・・・・。」

哲司は、もう何も言えなくなっていた。


「ん? まさか、迷子じゃないでしょう?」

お姉ちゃんは、哲司の服装を見て首を傾げる。


「・・・・・・。」

「あら、駐在さんの自転車だ・・・。って、ことは、やっぱ、迷子?」

「ううん、ち、違うよ・・・。」

哲司は、ようやくそれだけを言う。


「僕、お名前は?」

お姉ちゃんは、哲司の前にしゃがむようにして訊いて来る。


「巽哲司。」

「たつみ? この村には、そんな家はなかったけど・・・。

で、駐在さんと一緒に来たの?」

「う、うん。」

「ああ、やっぱり?」

「・・・・・・。」

やっぱり・・・と言われても、哲司はその意味が分からない。



「おお、待たせたな。」

そこに、おじさん警察官が戻ってきた。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ