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第7章 親と子のボーダーライン(その83)

「よっしゃ! また、キーパーするぜ。」

龍平が大きな声でそう言った。

そして、手袋を嵌めてゴールポストの前で大きく手を広げてみせる。


確かに龍平は哲司よりも身体ははるかにでっかい。

それにしても、ああしてゴールポストの前で両手を広げられると、その大きさが一段と際立つように思える。


「逆を突いて来い!」

龍平は哲司のクラスに檄を飛ばす。


「よ〜し! 俺から行く!」

今度そう言ったのは、あの景山だった。


景山がボールをセットする。

そして、歩幅を測るようにして後ろへと下がる。

次に左へと数歩だけ動く。


「行くぜ!」

「おう、いつでも来い!」


周囲にいた皆はじっとその成り行きを見詰める。


龍平と景山。ふたりは、それぞれのクラスではいちにを争う体躯の持ち主だ。

運動会などで、クラス対抗となると、必ずそのトップに選抜される。

去年の運動会では、騎馬戦の大将同士だった。

しかも、互いにその大将だけが生き残っていての一騎打ちとなった。

壮絶な闘いとなった。

その時の光景が、皆の脳裏に蘇ったに違いない。



と、そこで、体育教師の笛が聞こえた。

5時限目の授業が終わる時刻となったようだった。


だが、その周囲にいた哲司のクラスの皆は、その場を一歩も動こうとはしなかった。

景山が蹴り、龍平がそれを受ける。

その結果がどうなるのかに関心があったのだ。

僅か数秒で結果の出ることだったこともあるのだろう。


「続きは、次の時間だ。」

景山はそう言って蹴るのを止めてしまう。


「おう、そうだな。楽しみは後にとっておこう。」

龍平がそう応える。


それで5時限目の授業が終了する。



10分間の休憩時間になった。

体育の授業であればそのまま継続しても良いようなものだが、他のクラスの子がグランドに出てくることから、事故を防止するためにも、はっきりと授業の終了が宣言されるのだ。

もちろん、体育館にいた女子も外へと出てくる子がいる。

山川美貴もそのひとりだった。



(つづく)



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