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第7章 親と子のボーダーライン(その65)

景山の太い腕が哲司に伸びる。


(つ、捕まって溜まるか!)

哲司は、ひょいと身をかわす。

そして、脱兎の如く廊下へと飛び出していく。


「ま、待ちやがれ!」

もちろん、景山がその後を追う。


哲司は、廊下に出た後、すぐに階段のある方向へと走った。

ただ単に逃げるだけではない。

哲司には、景山と争う場合の戦略があったのだ。


階段の下まで来て意識して立ち止まる。

背後から追って来る景山をそこで待ち受ける。

体勢を低くして身構える。

如何にもここで戦うぞといった構えを見せる。


景山の巨体が間近に迫る。

いよいよ観念したかとでも言うように、不敵な笑みさえ浮かべている。

そして、哲司の身体を抑えようと手を伸ばしてくる。


と、その瞬間だった。

哲司は、左へと身体を捻った。

そして、そこにあった階段を一気に踊り場まで駆け上がる。


「ああっっっ! ま、待て!」

伸ばした腕が空を切ったと知った景山は、その目だけで哲司を追う。


「く、くそっ!」

そう叫んだと思うと、哲司の後を追うようにして階段を大股で駆け上がってくる。

重戦車が坂道を登るような感じだ。


その景山の足がもう後一歩で踊り場に来るとなったとき、哲司は身体を翻して階段をこれまた一気に登り切る。

つまりは、校舎の二階へと上がった。


そして、そこからは、急ぎ足なのだけれど、決して走らない。

摺り足のような運びで、できるだけ音を立てないようにしながら、その廊下を反対側の階段のある方向へと急ぐ。

ここは、5年生の教室が並んでいる。

4つの教室の横を通り抜けると、そこにはまた階段がある。

これが中央階段だ。


そこまで来て、哲司はようやく後ろを振り返る。

景山の姿を確認しようとしたのだ。

さすがの景山も、1学年上級の5年生たちが雑談をしている廊下だと、いつものような馬力一辺倒では走れないらしい。

哲司への怒りを内に秘めた顔で、苛立つように足を運んで来ていた。

それでも、まだ1教室分の距離があった。


「あかんベ〜。」

哲司は、そこでさらに景山を煽った。

そして、目の前の中央階段をこれまた一気に駆け下りる。

ここから先は、また4年生のエリアになる。



(つづく)



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