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第6章 明日へのレシピ(その59)

ファーストフード店に入る。

その時まで、ふたりの女の子は哲司の両脇を固めるようにしていた。

まるで、婦人警官に逮捕された犯罪者のような気分だ。



ふたりは慣れた様子で、自分たちが食べたいメニューをそれぞれ注文する。

そして、最後に哲司に訊く。

「お兄さんは?」


「ああ・・・、俺は、コーラ。」

「それと?」

「いや、それだけで良い。」

「あら、そうなの?」

千佳はそう言ったものの、それ以上は何も言わなかった。

それですべてのオーダーが終る。


最後のところで支払をする。

もちろん、哲司の役目である。

「ご馳走する」と約束をした以上、それは当然でもあった。


「いくら?」

「1275円でございます。」


哲司は財布を取り出して、残り僅かとなっている手持金からそれを支払った。

予想していたよりも安価に留まった。

彼女達が遠慮してくれたのかもしれないと思ったりする。

意外と常識人である。



「2階へ行こう。」

受け取ったトレーを持って、千佳がそう言う。

哲司のコーラも彼女のトレーに乗っていた。


ミチルが先に階段を上がる。

その後ろを千佳が行く。

哲司も黙って付いていく。


階段の折り返しのところで、哲司は初めて気が付いた。

目の前を行く千佳がスカートを穿いていた。


(ん? この子、確かジーンズを穿いてなかったっけ?)

哲司は、最初にあのバス停のところでの光景を思い出す。

一番遅れてやって来た千佳は、確か、スカートではなかったはずだ。


(だとすると、あのトイレで穿き替えた?)

哲司は、そう思わざるを得なかった。

意外に細くて綺麗な脚だと思う。



「お兄さん、灰皿は持ってきてね。」

窓際の席に着いてから、ミチルが哲司にそう言った。

どうやら、この2階は喫煙席のようだった。



(つづく)




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