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第1章 携帯で見つけたバイト(その36)

「この調子だと、11時半過ぎにはここは片付けられる。

その後は、恐らくは、業務用の電気掃除機がやってくるのだろうな、と思う。



他の引越し業者が最近よく使うようになったものだ。

個人の家だと、引越し当日には電気が止められるから、それを持ち込んでも使えないことがあるが、こうしたテナントビルのテナントが引越しをする場合だと、共用部分の電気が使えるから、効果は抜群にある。


この程度の広さの部屋だと、15分から20分で、殆どの埃は吸い取れる。

明日、次のテナントが入居しても、殆ど問題が無いほどにきれいになるものだ。



元来、引越し業者は、その後の清掃などというものはやりはしなかった。

だが、規制緩和の政策が浸透するにつれ、新規事業者の参入が相次いで、事業者間の競争は激しさを増すばかり。


最初のころは、料金値下げが競争の最たるものだった。

あちらよりもお安いです。

それが、皆の売り文句だった。


だが、少しすると、もうこれ以上は下げられない。

値下げすれば、赤字となって、経営が成り立たない、というところまでやって来る。

そこで登場したのが、いわゆる付加価値のサービスなのだ。


電話や電気の移転手続きも一緒にやる、だとか、今回のように、引越しした後の清掃までやります、などというのが広がってきた。


もちろん、そうしたサービスは、引越し業務の中枢ではない。

だからこそ、コストも超低空で考えたいし、直営の社員を使うなどとは毛頭考えない。

そこに、哲司たち、フリーターの活用趣旨がある。



次に予想される作業も、家庭用の電気掃除機とは比べものにならないほどでかい物を使うのだが、原理は自宅の掃除をするのとまったく同じである。

コードをコンセントに差し込んで、スイッチを入れる。

唸りを上げてゴミを吸い込んでいくから、それを端から順にやっていけば良いだけだ。

大きさと音と、その吸引力が異常なほど強烈なだけで、やることは誰でもできる事だ。


哲司は、その作業を織り込めば、丁度12時になると計算をする。


こうしたバイトの配置まで、あの現場責任者だと言った及川が噛んでいるのだろう。

現実は分らないが、他の引越し屋の場合だと、そうだった。

だとすれば、見事な稼働計算である。


経験者でなければ感じないのだろうが、哲司は最初に及川を見たときの印象が蘇ってくる。

軍隊の分隊長。そうした言葉がピッタリと来るような動かし方だ。



(つづく)





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