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第6章 明日へのレシピ(その28)

哲司は苦笑した。

彼女達の会話を耳にして、つい「最近の若い子は・・・」などと考えてしまったからである。


そうは言っても、哲司と彼女達はほぼ同年代の筈だ。

まさか、高校生じゃあるまい。

それなのに、いかにも自分とは違う「何と、未熟な・・・」との思いが頭を掠めたのだ。

そうした自分を笑ったつもりだった。

そんなことが言える立場ではない。


聞こえた情報だけを繋ぎ合わせると、少なくとも彼女達は働いてはいるようだ。

バイトなのかパートなのかは知らないが、それこそ非正規雇用の一翼を担っているのだろう。

それだけでも、現在は働きもしていない哲司と比べると立派なのかもしれない。


そうした友達同士が、こうしてここで待ち合わせをして、これからどこかへ行こうとしているようだ。

食事なのか、遊びなのかは分らないが、それでも、こうして馬鹿なことでも喋りあえる友達がいることも大切なことかもしれない。

男女の違いはあっても、哲司にはそうした友達は殆どいない。



「おまた〜」

駅ビルの方からバタバタと走ってくる足音がして、そう叫んだ。

待っていた子がやって来たようだった。


「千佳、おそ〜い!」

誰かが答える。


(ああ・・・、これで静かになる・・・。)

哲司はそう思っていた。

待ち合わせのメンバーが揃ったのだから、これでどこかへと移動するだろうと思ったのだ。


ところが・・・だった。



「ん? その子は?」

誰かが訊いている。

どうやら、千佳と呼ばれる子はひとりではなかったようだ。


「ミチル。今日から同じバイトに入った子なんだけど・・・。」

「で?」

「今夜、泊まるところが無いって言うから・・・。」

「一緒にってこと?」

「私が面倒見るし・・・。」

「よく言うよ・・・、いつも面倒見てもらってるくせに・・・。」

いろんな声が飛び交う。

誰が何を言ったのかさえ分らない。


「駄目だと言ったら?」

誰かがそう問い返した。



(つづく)




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