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第5章 舞い降りたエンジェル(その49)

「そうそう、それで思い出したんですが、巽さんのその彼女さん、煙草は吸われてませんよね?」

「う〜ん、多分・・・。」

哲司は奈菜が煙草を吸っている場面を見たことはない。

彼女もまだ高校生なのだから、法律的には吸えない筈だが、哲司がそうであったように、隠れての喫煙をしている可能性は完全には否定できない。


「た、多分ですか・・・。」

「吸わないのだとは思いますが、それを確かめたことはありませんし・・・。」


「で、でも・・・。」

女性は、その後の言葉を言いにくそうにする。


「ん?」

「キスをすれば分りません?」

女性が哲司の耳元に囁くようにして言う。


「ああ・・・、なるほど。それはそうでしょうが・・・。」

「?」

今度は女性が首を傾げる。


「そのキスの段階まで行ってないもので・・・。」

哲司は女性の疑問を察してそう補足する。


「あら・・・、そうなんですか? まぁ、それはそれは失礼なことをお訊きいたしました。巽さんって、結構硬派なんですねぇ。」

「硬派? そんなカッコ良いものじゃないですけれど・・・。」

「でも、それだけ彼女さんのことを大切に思われているってことでしょう? 男らしくって素敵ですよ。」


「う〜ん、そういう理由じゃないんです。優柔不断なんです。まだ、手も握ってませんから。」

「ええっ! 本当に?」

「本当ですよ。だから、現在進行形だと申し上げたと思いますが・・・。」


「でも、そんな清い交際なのに、彼女さん、相当に思いきったことをおっしゃったものですねぇ。」

「な、何をです?」

「だって、まだまだこれから恋愛が始まろうとしている相手に、誰の子か分らないけれど妊娠したって言ったんでしょう?」

「ええ、まぁ、そういうことになりますか・・・。」


「それって、巽さんとの愛を育てたいと思っている女の子からすれば、絶望的な現実なんですよね。

私だったら、きっと、いえ、絶対に言えてないと思いますよ。」

「やはり、隠します?」


「う〜ん、難しい判断でしょうねぇ。隠し通せるものではないですし・・・。

かと言って、それを伝えれば、殆どの場合、その恋は終るでしょうからね。

いずれの選択をするにしても、相当に悩まれたのだと思いますよ。

でも、それを聞かれても、こうしてまだ彼女のことを大切に思われてるなんて、本当に男らしい。巽さんて、ほんと素敵ですよ。」



(つづく)



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