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第1章 携帯で見つけたバイト(その27)

香川が小さく舌打ちをした。

これ以上こいつに言っても埒が明かない。

そう思ったのだろう。


「お〜い、森本。・・・森本はどこだ?」

香川はその場をゆっくりと離れて、先ほどあの山田に投げ飛ばされた部下を探している。

「あいつだったら、今は及川さんのところです。」

事務机を二つ重ねる作業をしていた男が答える。


「何!あいつ統括の所へ行ったのか?・・・・・・・・」

それはまずいな、という顔をしている。

「例のピーピー鳴る装置のことで、相談に行ったらしいですよ。」

机を持ち上げながら、男が答える。


「ちぇっ!森本も勝手な真似をしやがって・・・・」

香川がそうぼやきながら部屋を出ようとする。

「あっ!主任、そのパソコンが載った机も積み込んでもいいですよね。

パソコンは一旦床に下ろしておきますから。」

出て行こうとする主任に、作業を続けている男が確認をする。


「ああ・・・・、そうしておいてくれ。」

香川は一度だけ部屋の中を振り返るようにして、その姿を廊下に消した。


もう、大きな荷物は殆どその部屋には残っていなかった。



「これから、どうするんだろう?」

哲司は休めていた手を再び動かし始めた。


自分に与えられたゴミの山は、ほぼ思っていたペースで片付いている。

用意されていた頭陀袋も、既に5つが一杯になった。

今までに出来上がった袋は、紙類、つまり「燃えるゴミ」である。


こうしたゴミの区分をする際には、手にしたゴミをその都度区分してそれを入れる袋に仕訳をする方法もあるが、それは非常に時間的なロスを招く。

こうした単純な作業の場合、少しでも頭で考える時間を省くのが効率的なやり方なのだ。

哲司は、経験から、それを知っていた。


だから、もっとも絶対量の多いものから袋に詰める。

そうすれば、残った他のゴミは総量的に少なくなるから、仮に個別に識別をするとしても時間は余りかからない。

これが、楽をしてやる方法だと思っている。


もう1袋分ぐらい紙類を拾い集めれば、後は、再生ゴミであるペットボトルやガラス瓶、空き缶などになる。


「後25分から30分程度だな。」

哲司は、残りの作業時間をそのように推計していた。

それで、まずは、第一ラウンドの終了だ。


「ここが片付いたら、一度休憩をして、缶コーヒーでも飲むか。」

エレベーターで8階に上がってきたとき、そのエレベーターホールに自販機があるのをちゃんと確認してあった。



そこで、ふと、気になって、振り返る。

「山田の方はどうなのだろう?」という気持ちだ。


「ええっ!・・・・・・・・・・・・・」

哲司は、口をポカンと開けたままで、山田のエリアを見ていた。



(つづく)



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