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第5章 舞い降りたエンジェル(その2)

「直ぐ隣の県だけど。」

哲司はぼやかした言い方をする。

腹の中では、知ってるんでしょう? 調べたくせに、と思っている。


「だったら、しようと思えば日帰りも出来る距離なんですね。」

店長は、どうしてか、そんなことを言った。


その後、何かを突っ込んでくるのかと思ったが、それはなかった。


「じゃあ、お気をつけて。」

店長はそう言って乾電池にレジ済みのシールを貼ってくれた。



アパートに戻った哲司は、直ぐに電池を入れ替えて、電気剃刀でひげを剃った。

そして、財布を取り出して、残金を確認する。


「わぉう。これで、実家までの交通費を支払ったら・・・。」

今月は食べるものも買えなくなる金額しか残らない。

実家で、何とか金を工面しなくては・・・。


また、頭の痛いことがひとつ増えた。



午前中に洗濯をして、それを干してから出ようと思っていた。

実家から帰ってすぐに洗濯をするのは疲れるからだ。


下着やジーンズを一緒くたに洗濯機に放り込む。

そして、適量の洗剤を入れる。

後はボタンを押せば、脱水までは洗濯機がしてくれる。


それが終るのを待って、物干しに干せばいいだけだ。



洗濯機が動き始めたのを確認してから、哲司はまたゴロリと横になった。


と、その時である。

携帯電話が鳴った。

メールの着信音ではなく、電話だ。


携帯を手に取る。

相手を確認する。


「あっ!・・・奈菜ちゃんだ。」

哲司は、跳ね起きた。

だが、電話に出るかどうかを一瞬迷う。


どうして、こんな時間に?

しかも、メールではなく、電話?


その疑問が真っ先に頭に浮かぶ。


「もしもし・・・。」

哲司は、結局のところ電話に出る。


「おはよう。てっちゃん、実家に帰るんだって?

どうして、一言連絡くれないの?」

電話口の奈菜は、何故かしら細い声だ。



(つづく)



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