表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
231/958

第4章 奈菜と言う名のマドンナ(その53)

哲司は、奈菜の父親と約束した「1週間」を守ることにした。



折しも、実家の母親から「この春休み中には一度戻ってきて欲しい」との連絡も入っている。


確かに、本音から言えば、父親とは顔を会わせたくはない。

だから、実家へも戻りたくはない。


だが、ここで、一度、奈菜の周辺から離れてみるのも、ひとつの方法かもしれないと思えるようになった。

このアパートにいなければ、奈菜と顔を会わせることもないだろう。

少し寂しい気もするが、今日、一気に熱くなった感情を冷却することも必要なような気もする。



また、自分の気持が揺らぐかもしれないと思って、哲司は携帯電話を手にした。

そして、リダイヤルボタンを押して、実家へ電話を掛ける。


「もしもし、巽でございます。」

母親の声だ。

両親は固定電話しか使わない。


「ああ、僕だけど。」

「うん。」

「明日、一度帰るよ。」

「えっ!・・・本当かい?」

「うん。嘘で、こんな電話しないよ。」

「どういう風の吹き回しだい?」


「別に。母さんが、戻って来いって言うから。」

「あははは・・・。それは、今に始まったことじゃないけれど・・・。

まあ、その気になってくれたんであれば、その理由はどうでもいいんだけれど。」

母親は、哲司が実家へ戻ると聞いて、随分とご機嫌な声になった。


「で、いつまでいられるの?」

「・・・そうだなぁ、いろいろと忙しいんでねぇ。

今のところは、数日程度・・・としか言えない。」

「で、でも、明日の晩は泊まれるんだね?」

「ああ、・・・・それは間違いが無い。」


「そうかい。・・・・折り入って、あんたと話しておきたいこともあるし・・・。」

「一体、何?」

「う〜ん、電話じゃねぇ。兎も角、帰ってこられるんだったら、その時にゆっくりと話すよ。」


「じゃあ、明日、帰るから。」

「分った。何時ごろになる?」

「そうだなあ、午後からここを出るから、多分6時くらい。」

「晩御飯、うちで食べるんだろ? 何がいい?」

「何でもいいよ。任せとく。」

「あいよ。・・・それじゃあね。」


そこで、電話が切れる。



(つづく)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ