第4章 奈菜と言う名のマドンナ(その14)
「あの、突然にバイトを辞めたのは・・・・。」
ここら辺りからが、哲司の感覚がますますおかしくなる。
「まて、まてよ・・・・!」
声に出している自分に驚く。
だが、そんなことに構って入られないことが頭に浮かんだのだ。
「バイト、突然に辞めたってことだけど、・・・・・・。
それって学校が始まったからでもないんだよなぁ。
店長が慌てていたんだもの。バイトに来る予定だった筈だ。」
「ん?
て、ことは、まだ学校は始まっていないってこと?
奈菜は高校の冬休みを利用してバイトをしてたんじゃなかった?」
「だとすると・・・・・・・、スノボーの勘違いは1月の中旬じゃなくて、もっと前?
1月にはなっていたと思うから、じゃあ、年が明けて直ぐだったんだろうか?」
いくら時系列に物事が整理しにくいタイプの哲司ではあっても、さすがに学校の休み期間といったものを無視する訳にはいかない。
「普通、高校が始まるのは8日だよなぁ。
融通の効く私学でも、遅くても10日ぐらいからは始まるだろう。」
そこまでを確認すると、先ほどようやくの思いで書き込んだ「1月中旬スノボーを抱いて・・・」というのは誤りだということに気がつく。
「でもなあ、そんなに早かったかなぁ。」
哲司の実感である。
何度も首をかしげた哲司だったが、突然、ポンと手を叩いた。
「そうだ、この日のことなら、あいつに聞けば覚えているに違いない。」
哲司は携帯電話を手にとって、アドレス一覧を呼び出した。
ある男にメールを打とうと考えたのだ。
「いや、直接、電話しよう。」
そう言って、今度は電話帳を呼び出す。
そして、その中から意中の男の番号を選んで電話をかけた。
「おうおう、おひさ〜。」
相手の男は気軽に電話に出てきた。
もちろん番号通知で掛けているから、相手も誰からの電話だと分っていて出てきたのだが。
(つづく)