表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/958

第3章 やって来たパパ(その72)

「ど、どうしてそんな質問を?」

哲司は、アパートの前に止めた車の中の父親を思い出していた。

静かに誰かを待っているというだけの感じだったのだが。



「ですから、それは先ほども言いましたとおり、探偵社の調査は調査、それを踏まえて私がどう感じられるかを確かめただけの事です。」


「・・・・?」


「君の事は、あまり良くは書いてありませんでした。

でも、あのアパートの前に行ってみて、意外に秩序があるアパートだと思ったんです。」


「秩序ある?」


「はい。そうです。

一般に、賃貸の建物、つまりアパートやマンションというのは、その所有者や管理者の色が強く出るものだと言われます。」


「実際に住んでいる人間ではなくて?」


「はい。賃貸ですから、確かにいろいろな人、いろいろな年齢層が入ります。

でも、だからと言って、その所有者、つまり家主さんの影響を受けないと言う事は無いのです。

金さえもらえれば、どんな人間だって構わないという家主もいますが、やはり殆どの家主さんは、自分の所有するアパートなりマンションに入居する人物をきちんと見定めているんです。」


「そうかなあ、・・・・・。

でも、僕はあのアパートの家主さんを知りませんよ。」


「いえ、・・・・御存知のはずですよ。」


「契約書には、確か有限会社か何かの名前があったと思いますけれど・・・。」


「その会社を経営されている方をご存知ありませんか?」


「・・・その名前も覚えていませんから・・・・。」




「う〜ん、そうですか。やはり、ご両親がそこまで気配りをされたんですねえ。」


「えっ?・・・・両親って、僕の両親のことですか?」


「そうですよ。

今のアパートも、専門学校に通うというお話があってから決められたんですよね。

ですから、ご両親が探してこられたのでしょう?」


「それは・・・・そうでしたけれど・・・・。」

哲司は、奈菜の父親が、どうしてそこまでを知っているのか、不気味さを感じる。



(つづく)




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ