表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/958

第3章 やって来たパパ(その70)

「それは、そのスノボーの話しは、あの子にとってはどちらでも良かったんだと思いますよ。」

奈菜の父親は、まるでそれが事実だとでも言うように断定をする。



「えっ?・・・・どちらでも?」


「はい、要は、君との接点となる理由が欲しかったんだろうと。

それが、たまたま君がスノーボードを抱えてきたものだから、それをきっかけとして使った、言葉を変えればそれを旨く利用した。」


「利用した?」

哲司は、父親が言っている意味が分らない。

まるで、奈菜が計算ずくで近づいてきたような言い方だ。



「そうした言い方をすると語弊があるかもしれませんが、あの子は君と近づきたかったんです。何としてでも。」


「・・・それは、僕も同じですよ。

何とか、奈菜ちゃんと繋がりが持てないかと考えていたんですから。」


「君は言いましたよね。

最初の出会いは、アパートの近くのコンビ二だと。」


「はい。」


「そこで、釣銭を間違ったからだと。」


「はい。もし、あの釣銭の間違いが無ければ、顔を見たことがある程度で止まっていたと思います。」


「だとしたら、・・・・・、その釣銭の事件も、あの子が意識的にやったとしたら?」



何を言い出すのか? と哲司は父親の顔を見る。

だが、父親は真面目な顔で言っている。冗談だとか、仮定の話でもないという雰囲気だ。


「まさか・・・・・。」

哲司は、その言葉しか出てこない。


「ですからね、その、まさか、だとしたら、君はどう思います?」


「それはありえないでしょう?」


「いえ、ですから、そうだとしたら・・・との前提です。」



哲司は、答える代わりに、父親の顔と目を覗き込むようにして見つめる。


本当にそのように思っているのか、それとも自分を試そうとそんなことを言っているのか、その判断が付かない。



(つづく)





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ