第1章 携帯で見つけたバイト(その17)
ゴミの山は、紙類が大半のようだ。
それに、空き缶、空き瓶、ペットボトルといういわゆる資源ごみと言われるものだ。
さすがにプロダクションの事務所だっただけあって、鉄などの金属類はないようだ。
ざっと見渡してから、頭の中で手順を考える。
壁の際に、まさに書類の束だと思われるものが積まれてあった。
近づいていくと、それはもう既にこのまま運び出せるようにビニール紐で縛られていた。
「ああ、この際だから、不要になった書類を捨てていくつもりだな。」
哲司はそのように思った。
括ってあるのだから、まずはこいつから袋へと入れようと思う。
頭陀袋を持っていって、上から被せるようにする。
こうしておいて、後からそれをひっくり返せばいい。
楽なのだ。いちいち持ち上げなくて済む。
こうした書類は、見るよりもはるかに重たいのだ。
一つ目は被せた。だが、二つ目と一緒では袋の口が小さくて被らない。
仕方が無いから、一つ目だけに被せておいてそれをひっくり返す。
そして、二つ目は持ち上げて袋に入れることにする。
案の定、結構重たい。
だが、途中まで持ち上げたところで、括ってあったビニール紐が何故か切れた。
あっ!と思ったが、もう遅い。
折角括ってあった書類の束が、その拍子にどさっと床に崩れ落ちた。
「あ〜あ、・・・・」と哲司は呻いた。
だが、こうなれば仕方が無い。
どっちみち袋に入れるのだから、改めて縛る必要はない。
ばらばらになった書類を適当に拾いながら、その都度袋に入れる。
床に這い蹲るようにして拾っては袋に入れる。
その繰り返しだ。
その時である。
ふと、手にした書類が目に飛び込んでくる。
「女の子の写真が貼ってある!」
哲司は、その手を袋の中に突っ込んだ状態で、改めて書類を見る。
近くにいる山田に気づかれたくは無いのだ。
目が行ったのはやはり「女性の写真」である。
それも、最初に気がついたのは顔写真だったが、どうやらその下には水着姿の全身写真もついている。
「この子、いい身体しているな。」
哲司は、鼻の下を伸ばした。
よく日焼けした身体に、真っ白なビキニの水着姿である。
「奈菜も結構いい身体してるけど、やや小ぶりだしな。それに比べて、この子は凄いグラマーだ。」
水着をの下の乳房を想像するだけで、ここがどこかを忘れてしまいそうだ。
「きっと、水着の跡が白く残っているのだろうな。」
Vゾーンに目が釘付けとなる。
「へぇ〜、こんな子がこのプロダクションにいるんだ。」
そう思うと、この写真をもらって帰りたくなる。
山田に見つからないように、袋の中でその写真を剥ぎ取ろうと試みる。
だが、意外にしっかりと貼られていて、そう簡単には台紙から剥がれそうも無い。
そうしてその書類と格闘をしているうちに、哲司はとんでもない事に気がついた。
「ええっ!・・・・・これって、履歴書じゃん。名前どころか、住所や連絡電話番号までが記入されている。」
(つづく)