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第3章 やって来たパパ(その60)

「お父さんもなんですか?調べられたって・・・・・・?」


「はい、もう随分と昔の事ですけれど・・・。」


「じゃあ、結婚をされるとき?」


「そうです。

まあ、当時ぐらいまでは、そうすることが親として、とりわけ女性側の親としては当然のことのように言われていましたからね。」


「へぇ?・・・・そうだったんですか。」


「家内の実家はもともとが何代も続いた造り酒屋でしたからね。

ほら、京都の伏見ってご存知でしょう?

関西では、神戸の灘と並び称される酒どころです。」


「ああ、その話は・・・・。」


「まぁ、俗に言う名門意識がありましたから、私と家内とが結婚をするときにも、いろいろとあったんですよ。」


「奈菜ちゃんのお母さんとは、どこで?」

哲司は、話の進展には注意した。

マスターからは、奈菜の両親の出会いや結婚に至る経緯を聞かされてはいたが、その点は伏せておいたほうが良いとの判断でずっと口にしていない。

だから、適当に「そうですね」とでも肯定すると、どこでその話を聞いたのかと突っ込まれそうな気がしたからだ。



「まあ、奈菜とお付合いを頂くとしたら、そうしたこともお話しておいたほうが良いのかもしれませんが・・・・」

奈菜の父親は、そう言って、少し考える様子を見せる。

どのように話をして行くべきかを考えているのかもしれない。


「恋愛結婚でしょう?」

哲司は、軽い切り口から入ることにする。


「あははは・・・・・。」

父親は、どう意味か、笑うことで哲司の言葉への答えとしたようだった。



「実は、同じ銀行に勤めていましてね。

もちろん、私のほうが先輩だったんですが・・・・。」


「ああ、だったら、職場結婚って奴ですね。」

哲司は、あくまでも初めて聞く話だと前提を崩さない。



「まあ、そんなところですが、決して普通の職場結婚ではなかったんですよ。」

父親は、珈琲カップを両手で包み込むようにして、その言葉を吐いた。



(つづく)




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