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第3章 やって来たパパ(その6)

もちろん、そんな言葉を口に出来る訳はない。

だから、腹の中でそう思ったに過ぎない。


「何か考え事でもしてたんですかねぇ。」

多少投やりな答え方になる。



「まぁ、それは良いとしましょう。

で、どうしてその釣銭間違いがきっかけになるんです?」

「気がついてすぐに返しに行ったんです。コンビニに。」


「それで?」

「そうしたら、店長さんが出てきて、正直に言ってきてくれて・・・と礼を言われました。」


「なるほど。その時、奈菜は?」

「どうやら釣銭を間違ったことは既に分かっていたようで、奥の事務所で叱られていたみたいです。」


「どうしてそんなことが分る?見たわけじゃないんでしょう?」

「それはそうですけれど・・・。店長に呼ばれて出て来たときに泣いていたみたいでしたし。」


「泣いてた? どうして?」

「それこそ、僕には分りませんよ。」


「本当に釣銭を間違えたのだとしたら、そりゃあ、叱られて当然ですよね。

例えアルバイトであっても。」

「ん?・・・・それ、どういう意味です?」

「何が?」

「本当に釣銭を間違ったのだとしたらって・・・・。

つまり、それは僕の言いがかりだと?」


「う〜ん、そのように聞こえたのとだとしたら、謝ります。

でも、本当にあの子が間違ったのでしょうかね?

父親の私が言うのも変なんですが、あの子はそんな子じゃありませんから。」

「でも・・・・・・・・。誰だって、勘違いはあると思いますけれど。」


「どうしても、奈菜が間違ったことにしたいんですね。」

「いえ、そんなつもりはありませんよ。ただ、事実を言ったまでで。」


「だってね、おかしいでしょう?

普通の人間の感覚としては、釣銭を受け取ったら、その場で確認するものでしょう?」

「ですから、その時は、何か考え事でもしていて、きちんとした確認はしなかったんですよ。」


「本当ですか?」

「はい、本当ですよ。」



その時、車が高速道路へと入った。



(つづく)




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