TS×TS
私には夢があった。
生まれ変わったら男の子になりたい。
友達をいっぱい作って、くだらない事で盛り上がりたい。
エロネタを遠慮なく言ったり、股間の物の大きさで盛り上がったり。
やがて可愛い女の子と一緒になり、まぁ娘が出来たら臭がられて寂しい思いをしたりして。
ある日、夢の中で神様が現れた。
夢を叶えてあげよう。
たった二日間だけだけど、性別を男にしてあげよう。
その間の事は、私と神様以外忘れると。
私は、このチャンスを絶対に無駄にしない。
「ん、あぁ……」
目が覚めると、なんだか聞きなれない声がした。
神様に男の子にしてもらえる。
そんな夢を見たような気が……。
「あーあー」
……!?
声が低い!
ま、まさか!
私は、急いで鏡の前に立った。
すると、そこには割とイケメンの男子が立っていた。
まさか、これが私?
「すっごい……」
凄い凄いすごい!
視点が高い!
なんか男臭い!
おっぱいが無い!
「ふ、腹筋が割れてる……」
すっごい……男の子だぁ……。
冷静になって部屋を見回してみる。
外も見覚えのない光景。
部屋もまるで知らない部屋だ。
高さ的に、どこかのアパートなのかな。
服が脱ぎっぱなし、ポテチの空の袋が放ってある。
あ、そうだ。
まさかエッチな本とかどっかにあるんじゃないのだろうか。
ベッドの下? いや、このベッドは下に隙間が無い。
本棚……はこの部屋にはそもそも無いしなぁ。
あ! クローゼットの中にいっぱいある!
女子高生が家出をなんたら……。
隣のお姉さんの、昼と夜の顔……。
な、なんか変な気持ちになってきた。
おおおおおとこのこだから、エッチな気分になるときは……。
……うん。
まーそこがそうなるよね……。
どうしよう、どうすればいいんだろう。
ズボンの膨らみが気になる。
しかし見る勇気が起きない。
でも、でもでもでも。見たい……なぁ。
というか自分の体なんだし、このままじゃトイレも困る……。
そっと、そっと……。
「おにーちゃん、起きた? 部活の時間でしょ?」
突然ドアが叩かれた。
女の子の声だ。
おにいちゃん? 妹ちゃんかな?
「あ、あぁ。今起きる」
股のコレは今はどうしようもない。
部活? と思って周囲を見わたす。
机の上に写真立てがあることに気づいた。
自分の写真だ。
サッカー部らしきユニフォームを着て、他の男の子と一緒に並んでいる。
しかし困った。
部活って言われても、この男の子の学校の場所が分からない。
まぁ素直に従う必要はないか。
せっかくの二日間、楽しまなくちゃ絶対に損だ。
ささっと服を探して、外に出よう。
外には外の楽しみがある。
ナンパしちゃおっかな、風俗行ってみるのもいいかも。へへ。
ポケットの中に鍵が入っている。
この家の鍵だろう。
財布と携帯、鍵だけを持って、そっと家から出た。
「あれ? 制服じゃないの?」
「う、うん。今日は私服で集合って言われててさ」
「ふぅーん?」
外に妹ちゃんらしき子がいた。会わないようにしてたのに。
可愛らしいが、ちょっと性格がきつそうだ。
というか外に出てから気づいたけど、ここアパートの結構上の方なのね。
ちょっと怖い。
しかし、我ながら苦しい言い訳だ。
「わた……じゃなかった。お、俺急ぐから!」
「あ、ちょっと待ってよ!」
慌てて階段へと向かう。
エレベーターは5階から下へと向かっていた。
恐らくここに再び来るまで時間がかかるだろう。
俺が駆け足で階段へ向かおうとしたその時だった。
「うわっ!」
完全に死角の位置から、小さな男の子が飛び出してきた。
私に完全にぶつかる勢いで、出会い頭だからこちらも避ける暇がなかった。
「お兄ちゃん危ない!」
「え?」
避けた先に、運悪くボールがあった。
そうか、この子はボールを追いかけていたのか。
私はボールに転ばされる形となった。
勢いを殺しきれなかった体はなんとか男の子との正面衝突は避けられた。
だが、階段から最悪な形で投げ出される事になった。
「お兄ちゃん!」
妹ちゃんが、いつの間にか追いついて手を伸ばしてくれた。
私はその手を必死で掴んだ。
最悪な事にこの大きな体は、妹ちゃんの力では支えきれなかった。
私は妹ちゃんを巻き込む形で、頭から階段に転がり落ちていった。
「いっつつ……」
「いったー……」
私と妹ちゃんの声が、階段に反響する。
どうも頭を打ったらしい、少しグァングァンする。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「う、うん……」
……待てよ。
何かが違う。そうだ、声だ。
まさかこのパターンは……。
「……キャアアーーーッ!」
私の目の前の、大きな男が悲鳴を上げた。
声に少しびっくりしたが、それどころではない。
胸を触る。
柔らかな感触がする。
股間にはアレが付いていない。
……まさかこのパターンは。
「な、なんで私が目の前に!? や、やだ。なんで私の……ええ!?」
「なんでだろうね……」
私と妹ちゃんが入れ替わってた。
なんてこったい。
「お、お兄ちゃん。どうしよう」
「どうしたもんかねぇ」
「私、男子トイレの行き方とか知らないよ!」
私も知らないよ。
「ね、ねぇ。あの、あのさ」
「大丈夫、言わなくても分かるって」
このお腹にズーンって来る感覚。
アレでしょ? 女の子の日でしょ?
「お兄ちゃん、荷物の中にさ……」
「大丈夫、それに関しては大丈夫だから……」
知ってる。というか鞄の中に入ってる使ってる用具がいつもの奴だし。
うん、任せんしゃい。
「えっと、どどどどうしよう」
「どうしようかねぇ」
私と妹ちゃんは、男の子の母親が走ってこちらに来るのを眺めながら茫然としていた。
いやはや、どうしたもんか。
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